×

北朝鮮の弾道ミサイル “なぜ失敗” 韓国の分析は… 2回目はいつ発射?

2023年6月1日 5:44
北朝鮮の弾道ミサイル “なぜ失敗” 韓国の分析は… 2回目はいつ発射?

5月31日の“弾道ミサイル発射”について、北朝鮮メディアは発射からわずか2時間半後という“異例の早さ”で失敗を認めました。韓国の情報機関・国家情報院は「北朝鮮が準備日程を短縮した上、新たな発射場の工事が終わっていない状態で発射を強行したことが、失敗の一因」と分析しています。一方、北朝鮮が“速やかに行う”とした2回目の発射の時期については、日本国内でも意見が割れています。

   ◇

北朝鮮の通告初日である5月31日の午前6時半ごろ――。日本テレビの報道フロアに「ピピピピピッ」と“Jアラート”が鳴り響き、騒然としました。

避難対象となった沖縄では、石垣島にいた人のスマートフォンが緊急速報を受信。豊見城市の街にはサイレンが鳴り響き「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます」というアナウンスが流れました。那覇市にいた人々は、「不安な感じにはなったよね」(観光客)、「台風の警報だと思った」(県民)と話します。

首相官邸にも緊張が走りました。

   ◇

北朝鮮は、5月31日から6月11日までの間に“人工衛星の打ち上げ”と称する、事実上の弾道ミサイル発射を宣言していました。韓国軍によると、弾道ミサイルは北西部・東倉里(トンチャンリ)から発射し、韓国・於青(オチョン)島の沖合に落下。ただ、“飛行は正常でない形”だったといいます。つまり“失敗”だったということです。

北朝鮮メディアも「エンジンに異常があり推進力を失って墜落した」と報じ、発射からわずか2時間半後には“異例の早さ”で、打ち上げ失敗を認めました。

   ◇

北朝鮮との国境地帯にある中国・丹東から、発射後の北朝鮮の様子を見てみると、労働者らしき自転車の列や、鉄棒で遊んでいる人が見られ、特段、緊迫した雰囲気は感じられませんでした。

経済的な危機も伝えられるその裏で、金正恩総書記のもと、核・ミサイル開発を推し進める北朝鮮ですが、今回、国際社会に対し、発射の可能性を事前に知らせていた中で失敗しました。

   ◇

韓国軍が発見した「落下物」の写真を、ロケット技術に詳しい専門家に見てもらいました。

未来工学研究所 西山淳一 研究参与
「中に丸く球形のものが見えますが、あれは燃料タンクか、酸化剤のタンクの外側であろうと」

写真からわかることとして、今回のミサイルは「液体燃料を使った可能性が高い」といいます。

未来工学研究所 西山淳一 研究参与
「固体燃料は(タンクの)筒が非常に丈夫でないとダメ。見た感じ、もっとごつい」

では、なぜ失敗したのでしょうか。

韓国の情報機関・国家情報院は、「北朝鮮が準備日程を短縮した上、新たな発射場の工事が終わっていない状態で発射を強行したことが、失敗の一因」と分析。北朝鮮側は原因を解明した上で“速やかに2回目の発射を行う”と強調しています。

2012年に失敗した時、2回目の発射はおよそ8か月後でしたが、今回がいつになるのか、周囲の見解は割れています。

ある防衛省関係者は「失敗を打ち消すために、さっさとやるかもしれない」と、数日以内の再発射の可能性を指摘します。

一方、ロケット技術に詳しい専門家は「断定はできない」と断った上で…

未来工学研究所 西山淳一 研究参与
「地上でのロケットエンジンの燃焼試験をもう1回やらないとダメなのではないか。いろんな経験からすると、早くても何週間、普通は何か月という単位で、もっとひどい場合は何年(後)ということになってくる」

また、政府内からは「次こそは失敗できないから、不具合を解明してから撃つだろう」と一定期間、時間を空けるとの見方も出ています。

(5月31日『news zero』より)