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観光客が戻るハワイ 透明度増した海を守る

2021年6月30日 18:02
観光客が戻るハワイ 透明度増した海を守る

アメリカ・ハワイでは今、新型コロナウイルスをきっかけに取り戻した美しい海を守ろうという動きが広がっています。「コロナ後」を見据えた取り組みを取材しました。

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ホノルルの中心部から車でおよそ30分。ここは、シュノーケリングの人気スポット、「ハナウマベイ」です。この日、海の環境保護に取り組む団体の調査が行われていました。

スタッフとともに浅瀬を進むと。姿を見せたのは鮮やかな色をした魚。さまざまな種類の魚が泳ぐ中、スタッフが撮影を始めました。

サンゴです。新型コロナの影響でおよそ9か月間、観光客の立ち入りが禁止されたハナウマベイ。そのため、水の透明度がおよそ60%改善したといいます。

環境保護団体「フレンズ・オブ・ハナウマベイ」アンケ・ロバーツさん「薄い色のサンゴもありましたが、ほとんどは茶色や金色でしたね。健康である証拠です」

新型コロナによる閉鎖が海に回復の時間を与えたのです。現地では、観光客の受け入れ再開にあたり新たな取り組みを開始。閉鎖前は、1日平均およそ3000人が訪れていましたが、現在は一部を事前予約にして、およそ1700人に制限しています。

最近、アメリカ本土からの観光客が急増しているものの以前のような混雑はなくなったといいます。

さらに、ハワイではサンゴを増やす研究も進められています。施設の中にあったのは、ピラミッド型の物体。サンゴを小さく切った破片で、成長すると隣とくっつくような形でどんどん大きくなっていくということです。

四角い形に切ることで成長する断面を増やし、それに加え水質などを管理して育てることで、海と比べ最大で10倍ほど大きくなるというのです。

ハワイ州サンゴ再生養殖所 デービッド・ガルコ所長「重要なのは、海の厳しい環境に耐えられるサンゴを育てることです」

施設で育てられたサンゴは、まだ少ないものの、一部が、ハナウマベイの海にも返されています。入場者数の制限やサンゴの再生。観光客がさらに増えるであろうコロナ後を見据え、持続可能な観光地を目指しているのです。

環境保護団体「フレンズ・オブ・ハナウマベイ」リサ・ビショップ会長「コロナ前の状況には戻ってはいけない。なぜ今、人数制限が大事なのか。それはハワイの自然を守り、私たちの子孫がここを訪れることができるようにするためなのです」