習近平国家主席演説で珍しい“ハプニング”
今月6日、中国共産党が主催した、世界各国の政党とのオンライン会議。160か国以上の政党リーダーが出席する中、習近平国家主席が演説を行い、その様子は国営テレビで生中継されました。
その演説の終盤、こんな一幕が。
いつも通り正面を見て話し続けていた習主席ですが、突然、手元の原稿を頻繁に確認し始めたのです。実はこのとき、習主席が話していたのは、演説の序盤ですでに話し終えた部分。本人にも違和感があったのか、話の途中で時折、不自然な「間」が入り始めます。
それでも、演説を止めるわけにはいかない習主席。生中継の映像をよく見ると、隣に座る王滬寧政治局常務委員がそわそわしながら、スタッフをよびつける様子も映っていました。国営テレビも異変に気づいたのか、習主席を画面から外し、中継映像は、各国の政党リーダーたちが映るオンライン会議の画面に。
その後も、一度聞いた言葉を続ける習主席。
習近平国家主席
「政党は次の点を努力すべきだと考えます。第一に…」
演説は、つい数分前に「第一」から「第五」まで力説した部分へ。また繰り返すのかと思った瞬間、習主席は演説を中断しました。突然の沈黙のあと、中継映像には一瞬だけ、スタッフの男性が習主席に話しかける様子が。
すると…。
習近平国家主席
「ここはもう話し終わったか?」
スタッフ
「終わりました」
中継映像は、習主席が映らないオンライン画面のままでしたが、2人がひそひそと話す声や、原稿をぱらぱらとめくる音だけが入り込んでいたのです。その後、演説は再開。生中継の映像も習主席1人の画面に戻りましたが、最後まで原稿に目を落としながら慎重に読み続ける珍しい格好が続きました。
中国共産党創立100年の式典でも、数万人規模のリハーサルを繰り返すなど、何事も周到に準備し、段取り通り物事を進めることをもっとも重視する中国。こうした中で、この種の手違いとみられるハプニングが国家主席の演説で発生するのは、極めてレアな出来事です。
習主席が見ていた「プロンプター」(原稿を映す画面)などに何らかのトラブルが生じた可能性もありますが、原因は明らかになっていません。
もちろん、その後の国営テレビのニュースでは、読み間違えた部分は編集でカットし、何事もなかったかのように習主席の演説を伝えていました。