クーデターから半年 ミャンマーで感染拡大
ミャンマー軍によるクーデターから8月1日で半年です。軍の弾圧が続き社会の混乱が収まらない中、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大しています。現地の医師がNNNの取材に対し、苦しい胸の内を明かしました。
ミャンマーでは、多くの医療関係者が職場を放棄することで軍に抗議の意思を示す“不服従運動”を続けています。
クーデターによる混乱で、ミャンマーの医療体制は崩壊状態に陥っているということで、その実態を、「不服従運動」を続ける50代の男性医師が話しました。
“不服従運動”に参加 医師(50代)「新型コロナウイルス患者は低酸素状態で酸素を求めているが、手に入れることができない。病院は患者を受け入れられず、家に帰している」
新型ウイルスの感染は6月以降、急速に拡大しています。保健当局の発表によると、累計の感染者は29万9185人、死者は9334人とされていますが、実際の数は、はるかに多いとみられています。
“不服従運動”を続ける医師は、現状とのはざまで葛藤しています。
医師(50代)「一言で言うなら『胸が痛い』。しかし、もし私が病院にいたとしても、設備も薬も何もないので、患者を助けることはできない」
クーデターから8月1日で半年となりますが、治安部隊との衝突など、市民らの抵抗は続いています。これまでの市民の犠牲者は少なくとも940人に上りました。
経済は落ち込み、世界銀行は7月、市民およそ100万人が失業し、貧困率が来年初めには2019年と比べ2倍以上になるおそれがあると警告しています。
また、民主化の先頭に立ってきたアウン・サン・スー・チー氏は複数の罪で起訴され、拘束が長期化しています。
医師(50代)「私たちはなすすべがない。現実の問題を解決することも取り除くこともできない」
一方、軍トップのミン・アウン・フライン総司令官は1日、国営テレビの演説で、軍と民主派勢力の対話を仲介するASEAN・東南アジア諸国連合の特使について、受け入れる考えを明らかにしました。ただ、時期などは示されておらず、事態の打開につながるかは見通せない状況です。