“アップル税”にメス ユーザーへ影響は?
アメリカのIT大手アップルは、アプリを出品する事業者がアップルに対して販売手数料を支払わなくて済むよう、来年からルールを変更すると発表しました。
ルール変更のきっかけは、日本の政府機関からの指摘。今後ユーザー側のアプリ課金はどうなるのでしょうか。
■アプリを販売する事業者に最大30%の手数料
私たちがスマホ上で操作するさまざまな“アプリ”。アプリ事業者がユーザーにiOSのアプリ内でコンテンツを販売する際には、安全かつスムーズに決済を行うため売り上げの15%から30%を手数料として、アップルに支払うことになっています。
この手数料は“アップル税”とも呼ばれ、アプリ事業者から批判が集まり、アメリカでは、人気ゲーム「フォートナイト」を開発したエピックゲームがアップルと訴訟になっています。
■日本の公正取引委員会が巨人「アップル」を動かした
こうした中、“アップル税”の仕組みに疑問を呈したのが日本の公正取引委員会です。独占禁止法に違反する疑いがあるとして、2016年から審査を行い、関係者によりますとアップル側と何十回も議論を重ねてきたといいます。
その結果、アップルは1日、アプリへの課金については、利用者がアプリ外の自社サイトなどにも誘導できるよう、ルールを変更すると発表しました。これにより、アプリの事業者は自社サイトなどで課金を受け付けられるようになるため、アップルに高額な手数料を支払わずに済むようになります。
公正取引委員会によりますと、政府機関の要求に応じてアップルが手数料に関する方法を変更するのは初めてだということで、公正取引委員会は「今回の措置はEU(=ヨーロッパ連合)など、海外における手数料をめぐる論争にも影響を与えるのではないか」と意義を強調しています。
アップルは声明で、来年初めから世界でこの規約を適用するとし、「利用者とアプリを提供する側のどちらにとっても、さらに魅力のある市場へと進化を続ける」とした一方で、「アプリ内課金は、最も安全で最も信頼できる決済方法」だとコメントしています。
■ユーザーへのメリットは?
スマホイメージアプリ事業者が多額の手数料を支払わなくてよくなることで、ユーザーにはどのような影響があるのでしょうか。ITジャーナリストの本田雅一さんによりますと、「アップルで決済すると、事業者の自社サイトより値段が高くなったり、ゲーム内のコインが減らされたりすることがあった。今後はそういう不便が少なくなる可能性がある」とした一方で、「AppleStore以外で決済する場合、提供する個人情報の扱いは利用者側で十分に配慮する必要がある」ということです。
■アンドロイドアプリを配信するグーグルへの影響は?
また、今回のアップルの対応が、グーグルのアンドロイド向けアプリ配信サービスに及ぼす影響について、ITジャーナリストの本田さんは「グーグルにも同様の圧力はあるが、同社はすでに(アプリ事業者が支払う)手数料引き下げを実施している。他社決済への誘導も制約がなく、影響は少ない」と話しています。
一方、公正取引委員会は、日本テレビの取材に対し、「個別企業についてのコメントはできない」とした上で、「アップルと同様の事例があれば独占禁止法の定める範囲で対応する」としています。