年末商戦が本格化するアメリカ・ニューヨークでは異例のモノ不足に陥っています。クリスマスマーケットでは直前になっても商品が届かない店がありました。コンテナ取り扱い数が全米最大のロサンゼルス港では、道路も海上も渋滞。何が起きているのでしょうか？


■困惑…ＮＹの店員「全てに遅れ」

クリスマスムードに包まれ、年末商戦が本格化しているアメリカ・ニューヨーク。１６日に取材すると、異例の事態に陥っていました。

「物価がちょっとね」「高いですね」と２人組の買い物客。「欲しいものは見つかりましたか？」と聞くと「ＮＯ！」と声をそろえました。

ある店員は「（商品の入荷など）全てが遅れているし、モノの値段がすごく上がっています」と嘆きます。

深刻な「価格の高騰」と「モノ不足」が起きています。

■「貨物」殺到で…船の到着に遅れ

オープン前日のクリスマスマーケットでは、急ピッチで準備が進んでいますが、中にはまだ商品が届いていない店もあります。

オーナメント販売店の店員は「まだここが空いているでしょ？　荷物が間に合わなかったの」とため息。オープンを前に、肝心の商品が届いていません。１１月と１２月の売り上げが年間の８割以上を占めるというオーナメント販売店にとっては、大きな痛手です。

なぜものが届かないのか──。その答えとして店員が見せてくれたのが、「ＭＡＤＥ　ＩＮ　ＣＨＩＮＡ」と書かれた段ボール。「（商品は）ほぼ全てが中国製です。今年は１つのコンテナを受け取るのに８か月も待たされました」

新型コロナウイルスによる巣ごもり需要が続く一方で、急激な経済再開で、ものへの需要が増えているアメリカ。輸送貨物が殺到していることで、海外からのコンテナ船の到着が大幅に遅れているといいます。

■「２４時間営業」も…渋滞解消せず

コンテナの取り扱い個数が全米最大のロサンゼルス港。海の玄関口を取材しました。

車で港に向かうと、両サイドをトラックが埋め尽くし、動いていません。港には、高く積まれたコンテナが隙間なく並び、道路はコンテナを運ぶトレーラーで大渋滞が起きていました。あるドライバーは「２、３時間は待っているよ」と頭を抱えます。

この日、沖合いに停泊していた貨物船は７１隻。港の管制センター担当者は「（停泊船の数は）過去最大を更新しました」と言います。モニターに映し出された地図で見ると、中国などからの貨物船が港に入れず、海上で渋滞していました。

貨物船からは無線で「他の船が出ていかないから、今日は空きがないということですか？」と問い合わせが入り、管制センター側は「明日になるでしょう」と答えていました。

入港までには平均２週間以上かかるといいます。政府は港を２４時間営業にして乗り切ろうとしていますが、港は人手不足などで実現できていません。

（１１月２３日『ｎｅｗｓ　ｚｅｒｏ』より）