ウクライナ“停戦交渉”のウラ側は──専門家3人に聞く 「ノーベル平和賞」狙い? 見せかけの「充電期間」? 再侵攻の可能性も
ウクライナ侵攻を巡り、アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が電話で会談し、停戦に向けて交渉を始めることで合意しました。両国やウクライナに詳しい専門家3人に、いま合意した背景や停戦の可能性、今後のカギについて見解を聞きました。
「(合意に至った)今回は大きな動きですが、本当に停戦は実現するのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「アメリカ・ウクライナ・ロシア、それぞれの専門家に3つの疑問について聞きました」
「まず、なぜ合意がいまなのか。アメリカ政治に詳しい明海大学の小谷哲男教授は、トランプ大統領は戦闘を終わらせることが自らの使命だと思っていて、いわばピースメーカーとしてノーベル平和賞をとりたい思いがあると指摘しています」
「一方、去年10月までウクライナで日本大使を務めた松田邦紀さんは、そもそも最初に停戦を言い出したのは(ウクライナの)ゼレンスキー大統領で、それを受けてトランプ氏も動いた、と指摘します」
「プーチン大統領としてもいま、ロシア側の戦況は必ずしも良くなく、軍事的に打つ手がなくなってきているので、トランプ氏がプーチン氏をようやく引っ張り出すことができたのではないかと松田さんは話します」
「ただ、全く違う見方もあります。ロシアの軍事・安全保障に詳しい東京大学先端研の小泉悠准教授は可能性の1つとして、この停戦に向けた合意は見せかけだと指摘。停戦はあくまでも、疲弊したロシア軍の次の侵攻に備えるための充電期間ではないかといいます」
藤井キャスター
「つまり、このまま順調に停戦に向かうとは限らないという考えなのですね」
小栗委員長
「次に、停戦がどうなるかについて。専門家によって見方が分かれています」
「小谷教授は、戦闘が一時的に終わる道筋は見えてきた、これからの交渉次第ではあるが民間人の犠牲を防ぐことができる可能性は十分にあると話しています」
「一方で小泉准教授は、うまくいかないのではないかとみています。ロシアはヨーロッパなどによる安全保障の枠組みであるNATO(北大西洋条約機構)にウクライナが加盟しないことなどを求めています」
「ただその目的がいま達成できていないので、停戦しても再びロシアが侵攻する可能性が否定できないといいます」
藤井キャスター
「停戦合意をしたとしても、また戦闘が始まってしまうのではないかという懸念もあるということですね」
小栗委員長
「そして今後のカギについて。松田さんは『停戦の保障』が必要だと指摘します」
「せっかく合意してもまたロシアが攻め込んでは意味がありません。そのためゼレンスキー大統領はロシアと1対1で交渉したいとは思っていない。停戦を監視する仕組みなど、第三者を含めた保障が必要だとしています」
「また小谷教授は、NATO加盟についてウクライナがあきらめることが必要だとトランプ氏は考えているだろう、と指摘しています」
小島よしおさん(お笑いタレント・『news zero』木曜パートナー)
「結果がまだどうなるかわかりませんが、このスピード感はすごいなと思いました。歴史的な観点では、僕たちはすごい転換期にいるのではないかと思っています」
「冷戦が終結してからアメリカ主導でやってきたことに対して、振り返らないといけないのかなと。その結果、AでもBでもない、その間の新しい価値観を探す時期を迎えているのではないかなと思います」
(2月13日『news zero』より)