感染急拡大で混乱する中国 解熱剤求め製薬工場に行列 当局は感染者数発表を取りやめに
ゼロコロナ政策を緩和した中国で混乱が続いています。解熱剤を求め、製薬工場に多くの人が押し寄せるなど、薬不足が深刻な問題となっています。一方、当局は感染者数と死者数の公表を取りやめると発表しました。
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中国・北京。病院の発熱外来は、多くの人であふれかえっていました。廊下で点滴をうける人もいます。
さらに、北京市内の火葬場も、多くの人が集まっていました。火葬場スタッフなどによりますと、北京市内の火葬場はどこも予約が取りにくい状況だといいます。
ゼロコロナ政策の緩和以降、中国国内の混乱が長引いています。安徽省の薬局の前にできた長い行列の目的は、たった10錠の解熱剤でした。
客
「錠剤10錠だけ買えるので買いに来た」
中国では今、深刻な解熱剤不足が起きているため、市民は1箱ずつではなく10錠ずつしか購入できないのです。同じく解熱剤不足の広東省では、市民が薬を求め、製薬工場に直接押し寄せる事態になっていました。
こうした中、中国で登場したのは、市民同士で薬不足解消をめざすアプリです。
記者(中国・北京)
「こちらは足りなくなった薬を市民たちが融通し合うためのアプリで、“薬が欲しい”、あるいは、“薬を持ってますよ”、というメッセージなどを交換できる掲示版となっています」
そこには切実なメッセージが掲示されていました。
「家に高齢者がいます。基礎疾患があり肺機能が弱っています。家族が陽性で、急ぎ抗ウイルス薬がいります」
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薬不足が問題となる中、中国では感染が急拡大しています。香港メディアが報じた推計では、12月1日から20日までに中国全土でおよそ2億5000万人が感染しました。しかし、中国当局の発表では同じ期間の感染者は28万人ほどで、およそ900倍もの開きがあることになります。
発表の信頼性に疑いが強まる中、中国の衛生当局は突然、感染者数と死者数の発表は取りやめると通告しました。ただ、下部組織からの情報提供は続けるとしました。
こうした中、中国・浙江省は独自の集計で、年末年始に1日あたり最大200万人の感染者が出るとの見通しを発表しました。各地の自治体も独自の推計をしていて、さらなる感染急拡大を予測するなど、警戒がさらに強まっています。