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中国・習近平主席がロシアへ出発 ロシアとの貿易総額は“過去最高”…国境の街「満州里」では

2023年3月20日 19:23
中国・習近平主席がロシアへ出発 ロシアとの貿易総額は“過去最高”…国境の街「満州里」では

中国の習近平国家主席が、20日から22日までロシアを訪問します。プーチン大統領と会談し、ウクライナ情勢について意見交換する見通しで、習主席の訪問は、両国の密接な関係を世界にアピールする場になります。その関係を象徴する、ロシアと国境を接する中国北部の街「満州里」を訪ねました。

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20日朝、中国・北京の幹線道路には多くの警察官の姿が見られました。習近平国家主席が22日までの予定で、ロシア訪問に出発したのです。

一方、習主席の訪問を控えるロシアの首都モスクワでは、中国側代表団が宿泊するとみられるホテルにメディアの中継車がとまっていました。訪問に向け準備が着々と進んでいるのが、うかがえました。

習主席は滞在中に、プーチン大統領とウクライナ情勢をめぐっても意見交換する見通しです。そのプーチン大統領が、習主席との会談を目前にしたタイミングで電撃的に訪問したのが、去年5月にロシア軍が制圧したウクライナ南東部の要衝・マリウポリです。18日、マリウポリで大統領は自ら車を運転していました。

制圧した地域にプーチン大統領が訪問したことが確認されたのは、初めてのことです。プーチン大統領に会った人たちは、「まさか、信じられない。挨拶させてください」「テレビでしか見たことない」と驚きを隠せません。

プーチン大統領
「これから仲良くなりましょう」

占領地域に自ら足を運ぶことで、実効支配を誇示する狙いがあるとみられます。

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プーチン大統領は国際刑事裁判所(=ICC)から戦争犯罪の疑いで逮捕状を出され、孤立を深めています。こうした中での習主席の訪問は、両国の密接な関係を世界にアピールする場になります。

その関係を象徴するのが、ロシアと国境を接する中国北部、内モンゴル自治区の街「満州里」です。ロシアの代表的民芸品「マトリョーシカ」をテーマにした広場や、ロシア語が併記された看板が見られ、両国を代表する動物「パンダ」と「クマ」が仲良く並んだモニュメントもありました。

中露貿易の拠点としても知られ、陸路で輸送される物資の約65パーセントがこの街を通過するといいます。国境付近には、中国製の建設機械や輸送トラックで途切れることのない列ができていました。ウクライナ侵攻後の経済制裁で、日本や欧米から、ロシアに向けた重機などの輸出は大幅に減少しました。その穴を埋めるように多くの中国製品がロシアへ送られているのです。

中国政府の発表によると、去年のロシアとの貿易総額は約1900億ドルに上り、過去最高になりました。

満州里で暮らす人たちに、ロシアのウクライナ侵攻について聞きました。

ロシア雑貨店を営む満州里の住民
「私はロシア支持です。ずっと中国の親友ですから」

満州里のロシア人は「中国との関係はどんどん良くなっています。(中国は)兄弟国ですから、うれしく思っています」と話しました。

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今回の首脳会談について、ロシア側は「複雑な外交儀礼を廃して、交渉に取り組む」としていて、ウクライナ情勢をめぐり突っ込んだ話し合いがもたれるものとみられます。

一方、習主席は和平仲介に意欲を見せながらも、ロシア紙への寄稿で「複雑な問題に単純な解決策はない」としています。首脳会談を通じ、習主席がウクライナ情勢について、どのような姿勢を打ち出すのかが焦点です。