中国が台湾と“親子”に…中国軍が「家へ帰ろう」 アニメ公開で統一に強い意欲
中国で今月24日は元宵節と呼ばれ、灯ろうを飾り家族で過ごす日とされています。この日を前に、中国軍で台湾を管轄する東部戦区は、中国と台湾を親子に見立て「台湾統一」を示唆するアニメーションを公開しました。
中国大陸と台湾を表す地図の上に現れた大人と子どもの手。よく見ると、大人の手には中国国旗のリストバンドが、子どもの手には台湾の形をしたブレスレットがつけられています。
これは、中国軍で台湾を管轄する東部戦区が、23日にSNS上で公開したアニメーションです。東部戦区はこれまで、台湾を“どう喝”するかのように、台湾周辺での軍事演習の映像などをたびたび公開してきました。
今回は、中華圏で多くの人が家族と過ごす元宵節を前に、中国と台湾を親子になぞらえ、「家へ帰ろう」と台湾統一を示唆するアニメーションを公開したのです。
アニメーションでは、大人と子どもが手を握り合ったかと思うと、画面の右下に「台湾」を表すブレスレットに火をつける“自由の女神”が現れます。
台湾を取り囲むように描かれた赤いエリアはおととし、当時のペロシ・アメリカ下院議長が台湾を訪れた際、中国軍が設定した軍事演習エリアに重なります。
その後、台湾海峡には戦闘機や艦艇のイラストが。アメリカとの関係を重視する台湾の現政権をけん制する狙いがあるとみられます。
さらに台湾が実効支配する金門島の付近には、中国海警局の船が強調されています。この海域では今月14日、台湾当局が追跡していた中国の漁船が転覆し、2人が死亡しました。これを受け、中国海警局は周辺海域での巡回を「常態化する」と発表しており、この主張を強調したものとみられます。
最後には、「手と手をつないで炎の災いから脱し、灯ろうを手に悪魔を払おう」とのメッセージが。「炎の災い」とはアメリカを指しているのでしょうか。あわせて中国語で「家へ帰ろう」を意味する「回家」の二文字が浮かび上がります。
郷愁を呼び起こす、穏やかなトーンでつづられた“家へ帰ろう”。そのメッセージとは裏腹に、台湾統一を掲げる政権の強い意欲がうかがえます。
このアニメーションに対し中国のSNS上には、「この日を待ちわびている」といった声がある一方、「こんな手法は役には立たない」などのコメントが寄せられています。