ガザで支援も…「これ以上は本当にムリ」日本人医師訴え 全域で攻撃…増え続ける犠牲
1日の戦闘再開以降、約900人が亡くなったパレスチナ自治区ガザ地区。住民が避難する南部でも地上攻撃が続くなか、現地で支援活動を続けている「国境なき医師団」の日本人医師からは「これ以上は本当にムリ」と悲痛な声が。
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ガザ地区南部にある病院で、今も医療活動を続ける「国境なき医師団」の中嶋優子医師。
国境なき医師団 中嶋優子医師
「(戦闘再開以降)空爆によるような重傷外傷の患者さんがものすごく増えた。助手の人が、顔にたくさんのガラスの破片だとかで傷を負って、それでも仕事に来て」
画面に顔を出してくれた助手の男性の額には、手当てをしたあとがありました。ガラス片が刺さっていたということです。
国境なき医師団 中嶋優子医師
「ここ(腕)も破片があって、それでも仕事に。自宅の隣が空爆されてしまって、その破片をあびたんです」
多くの医療従事者が自身も傷を負うなか、活動を続けているといいます。
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「地上作戦をガザ地区全域に」と宣言したイスラエル軍。
イスラム組織「ハマス」せん滅を目指し、北部への地上作戦を行っていたイスラエル軍は4日、「新たな段階に突入した」とし、南部での作戦に軸足を移したことを明らかにしました。
中嶋さんがいるのは、ガザ地区南部にあるナセル病院です。ナセル病院で撮影された写真には、停電するなか、中嶋さんらがスマートフォンのライトで患者を照らし、治療にあたっている様子が写っています。
国境なき医師団 中嶋優子医師
「(停電が)最近、頻繁になってきている」
「重傷の子どもが運ばれてきていて、顔が全部やけどでひどくて、気道、息を吸うところが腫れてしまって。まさにチューブを挿管した時に、停電したりだとか」
ナセル病院の外で5日に撮影された映像には、空に照明弾が映っていました。
国境なき医師団 中嶋優子医師
「砲撃も聞こえます。ドンという大きな音が聞こえたり、病院が揺れたりも感じます」
1日の戦闘再開以降ガザ地区の死者は約900人(ロイター通信)で、10月以降では1万5899人が死亡(ガザ地区保健当局)したといいます。
国境なき医師団 中嶋優子医師
「これ以上ムリです。今でも、もう普通だったらムリ。でも、これ以上は本当にムリです。命が助かってもその後の治療ができない状態です。訴えたいのは本当に停戦です。それをひたすら待って耐えている」
(12月5日放送『news zero』より)