侵攻1年 激戦地バフムトから約5キロの村 避難せず残る人も「どこでも攻撃…どこに行けば」
侵攻から24日で1年を迎えたウクライナでは今も、多くの罪なき市民が攻撃の脅威にさらされています。激しい攻防が続く最前線近くの村に、ジャーナリストの佐藤和孝さんが入りました。
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20日、ジャーナリストの佐藤和孝さんが向かったのは、戦闘が激化する“最前線”から約30キロのクラマトルシクです。
佐藤和孝さん
「中心にあるアパートなんですけど、最近ロシアのミサイル攻撃を受けて、完全に破壊されました」
今月、民間の集合住宅がロシア軍の攻撃を受け、20人以上が死傷しました。今も、多くの罪なき市民が攻撃の脅威にさらされています。
22日、さらに“最前線”へ近づきました。
佐藤和孝さん
「今、我々は最前線の村、チャシブヤールに入りました。ほとんど人っ子一人いないです。行き交う車はみんな軍用車両。民間の車にはみんな軍人が乗っています」
チャシブヤールは、今、最も激しい戦闘が繰り広げられているバフムトまで約5キロの村です。
ロシア軍の攻撃で破壊された建物が目につき、取材中にも砲撃音が鳴り響きました。この村ではウクライナ軍が砲撃の陣地を築き、絶えずロシア軍への攻撃を仕掛けています。
侵攻前は約1万2000人が暮らしていましたが、今はほとんどが避難しているといいます。村の中心部には、残った人々が支援物資を受け取るため集まっていました。
佐藤和孝さん
「ここはとても危険だが、なぜ避難しない?」
村に残る男性
「ここは、私の故郷です」
インタビュー中にも砲撃音が鳴り響きます。それでも、男性はこの場所で生きることを選んだといいます。
村に残る住民
「どこの街でも攻撃はあり得ます。どこに行けばいいって言うんですか?」
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この1年で、多くの兵士たちも犠牲になりました。ウクライナ政府高官によると、ウクライナ軍の死者は最大で1万3000人にのぼります。
激戦が続く東部ドネツク州などで、特殊部隊の義勇兵として戦闘に参加してきたイゴールさんに、オンラインで話を聞きました。イゴールさんの部屋は計画停電で暗い中、地雷の破片とするものや仲間と写る写真を見せてくれました。
イゴールさん(46)
「地雷の破片です。本当に近くに飛んできました」
「これは私たちの部隊です。ほぼみんな負傷してしまいました」
仲間の中には、先月に18歳で亡くなった若者もいるといいます。
イゴールさん(46)
「このような若者が命を落とすのは、非常に悲しいことです」
イゴールさん自身も、去年12月に砲撃に巻き込まれ足を負傷しました。今月退院しましたが、医師から部隊の任務を外れるように言われたといいます。それでも、必要があれば前線に戻るといいます。
イゴールさん(46)
「大規模攻撃が始まれば、私も必ず(前線に)行きます。必要であればちゅうちょせずに(前線に)戻ります」
「この戦争はウクライナだけでなく、全世界に影響を与えています。日本のみなさんには最後まで一緒にいてもらい、我々の勝利を共に祝ってほしいです」
(2月24日放送『news zero』より)