×

ヘリパイロット「航空機見えている」事故直前のやりとり明らかに トランプ大統領「“多様性推進”が事故の背景」発言に波紋

2025年1月31日 19:35
ヘリパイロット「航空機見えている」事故直前のやりとり明らかに トランプ大統領「“多様性推進”が事故の背景」発言に波紋

アメリカ・ワシントン近郊で墜落した航空機。生存者はいないとみられています。こうした中、トランプ大統領が、連邦航空局が多様性を推進したことが事故の背景にあると発言し、波紋が広がっています。

   ◇

事故から一夜明けた現場では、旅客機の一部が川の中から姿を見せていました。赤い塗装は、尾翼の模様のようにも見えます。ヘリコプターは裏返っていて、中ほどで折れていました。夜の間に撮影された写真では、旅客機の機体が激しく破損している様子も写っていました。

アメリカ・ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港近くで29日、乗客乗員64人を乗せた旅客機と軍用ヘリが空中で衝突し、川に墜落した事故。これまでに30人以上の遺体が収容されていて、生存者はいないとみられています。

旅客機に突っ込んだようにも見える、軍用ヘリ。事故直前の管制官とのやりとりが明らかになってきました。

管制官
「CRJ(アメリカン航空機)が見えるか? CRJの後ろを通過して」
ヘリパイロット
「航空機が見えています」

ヘリのパイロットが“航空機が見えている”と答えていたように聞こえるのです。だとするとなぜ、ヘリと旅客機は衝突したのか。専門家は…。

航空評論家 青木謙知氏
「おそらくヘリコプターのパイロットは機外照明、飛行機についてる明かり、これが見えたということを言っている。旅客機いるのはわかっているよ、『見えてます』と言ったと思います。夜だと(旅客機自体の)形が見えないですから」

暗い中では、ベテランパイロットでも飛行機の大きさや幅などを確認するのが難しいと指摘します。

また、ニューヨーク・タイムズは別の場所を、より低空で飛ぶはずだった軍用ヘリが、本来のルートを外れ、より高い位置を飛行していたとしています。

   ◇

30日、会見で「事故原因はまだわからない」と述べたトランプ大統領。一方で、事故の背景について、バイデン政権がFAA(=連邦航空局)の多様性を推進し、「重度の知的障害や精神障害がある人々の雇用を進めた」ことにあると批判しました。

トランプ大統領
「『多様性は安全な飛行を確保するというFAAの使命達成に不可欠』だというが、それは正反対だと思う」

ジャーナリスト
「この事故は、多様性雇用が原因で起きたと言いたいのですか?」

トランプ大統領
「そうだったかもしれない。知力で判断しなければならないこともある」

多様性を推進する取り組みが、どう影響したのかの根拠は示しておらず、バイデン政権に批判の矛先をむける狙いがあるとみられます。

旅客機のフライトレコーダーとボイスレコーダーも回収され、本格的に始まる事故原因の調査。アメリカの運輸安全委員会は、30日以内に調査結果の暫定報告を出すことを目指しているということです。

最終更新日:2025年1月31日 19:35