【解説】ロシア“大規模攻撃”の可能性 専門家「間違いない」――3つの理由は? 「弾薬不足」「ウクライナも攻撃」の見方も
ウクライナ侵攻から、24日で1年。節目が近づくなか、ロシアによる大規模攻撃の可能性が取り沙汰され、緊張が高まっています。「間違いなくある」と見立てる専門家は理由を3つ挙げます。実際の規模についてはさまざまな見解があります。
有働由美子キャスター
「ウクライナのゼレンスキー大統領が、イギリスとフランスを相次いで電撃訪問しました。イギリスから供与される予定の主力戦車も視察しました」
「24日で侵攻から1年を迎えるのを前に、ロシアの大規模攻撃が行われるのではという見方も出ています。本当にあるのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「ロシア政治に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は『どのくらいの規模かはともかく、間違いなく大規模攻撃はある』と話しています。主に理由は3つあるそうです」
「まず一般的に、侵攻から1年という節目の時というのは、政治家にとって1つのタイミングと感じるだろうこと。また、ロシアが去年9月半ばに動員をかけた30万人のうち、約半数が訓練を終えて戦場に投入されると言われていることです」
「さらに、ウクライナが欧米から供与された戦車が、早ければ3月末には戦場に届くので、ロシアとしてはそれよりも前に大規模攻撃をかけようとするだろう、とみられているからです」
「実際、イギリスのフィナンシャルタイムズは6日、ウクライナの軍事顧問の話として『ロシア軍が10日以内に攻撃に着手する可能性を示す非常に確度の高い情報を得た』と報じています」
「(ウクライナの)ルハンシク州知事も『ロシアの大規模攻撃は15日以降、いつでも始められる状態だ』と発信するなど、緊張が高まっています」
有働キャスター
「9日、キーウに住むウクライナ人の方に聞くと、『妻や子供を避難させるかどうか、というくらい不安が迫っている』ということでした。大規模攻撃は、どれほどのものになるのでしょうか?」
小栗委員
「廣瀬教授は『こればかりは起きてみないと分からない』とした上で、『動員兵の訓練の度合いが高いなどして、ロシア軍が本気になったらやはり怖い』と懸念しています」
「ただイギリスの国防省は『現在のロシア軍に攻撃のための弾薬と機動部隊が不足している』と分析しています」
「一方、ウクライナ側の狙いの1つとして、国際安全保障に詳しい慶応義塾大学の鶴岡路人准教授は『ロシアによる大規模攻撃があるということで国際社会の目をロシアに向けておいて、その隙にウクライナ側も攻撃を用意しているのでは』と分析しています」
有働キャスター
「いろいろな見方があります」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「侵攻から1年を前に、ウクライナとしてもこの状況をなんとか打開したいという思いが伝わってきました。一方でロシアも徐々に追い込まれている状況かなと思っています。欧米からのさまざまな支援によって、一刻も早く侵攻が終わってほしいなと思います」
有働キャスター
「9日にロシア・モスクワの書店で売られていた地図で、一方的に併合を宣言したウクライナ4州とクリミア半島を見ると、ロシアを示すカラフルな色で塗られていました」
「こうしてどんどん既成事実化を進めようとしていますが、改めてこうした暴挙を許さない世界の結束を望みます」
(2月9日『news zero』より)