×

中国からの嫌がらせ行為相次ぐ…現地の状況・当局の狙いは?

2023年8月29日 0:36
中国からの嫌がらせ行為相次ぐ…現地の状況・当局の狙いは?

東京電力・福島第一原発の処理水の放出をめぐり、中国からの迷惑電話など、嫌がらせ行為が相次いでいます。北京から富田徹記者の報告です。

――Q.現地で見て中国の人たちは実際どう感じているんでしょうか。

実際のところ、街で聞いてみても、大半の人が本当に危険だと信じているようです。情報が制限される一方で、国営メディアが洪水のように宣伝している影響が出ている形です。嫌がらせの電話をしている人たちはごく一部ですが、その素地はつくられてしまっている感じがします。

――Q.中国当局が迷惑行為などを取り締まらない狙いはあるんでしょうか。

ガス抜きの側面がありそうです。中国は今、就職難や自由の制限などいろんな不満がくすぶる中で、「国民の健康を守るため、他の国と戦う」というわかりやすい構図で支持を固め、国内の不満からは目をそらす狙いがあるとみられます。

中国政府は、人々がさらに過激化すること、例えば反日デモなどは認めないとみられます。何かのきっかけで中国の政権を批判するデモに衣替えする可能性があるからです。

ただ、今回打ち出した水産品などの輸入禁止は長引かせる恐れがあります。中国としては一つの外交カードとして、例えば日本によるハイテク部品の輸出規制などと交換条件に利用する意図も考えられます。

――Q.中国にとって、経済的にも日本との関係悪化は損なのでは?

中国では「これでは投資が逃げる」と冷静な意見もあるんですが、中国政府がこの反日世論の中で対話に応じるかは不透明です。中国はトップ同士で話をつけるのが常とう手段ですが、岸田首相と習近平国家主席との会談の調整も期待された公明党・山口代表の訪中も延期になり、今のところ糸口が見えない状況です。