米コロンビア大学、抗議活動への対応強化など条件受け入れ 「学生に悪影響だ」と国連の専門家チームが批判
アメリカのコロンビア大学がトランプ政権の圧力を受け、構内での抗議活動への対応を強化するなどの条件を受け入れたことについて、国連の人権問題を担当する専門家チームは、「学生に悪影響だ」と批判しました。
コロンビア大学では去年、イスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区への侵攻に抗議する大規模なデモが起き、全米に抗議活動が拡大するきっかけとなりました。トランプ政権は「反ユダヤ主義的な嫌がらせ」への対応が不十分だとして、大学に構内での抗議活動への対応を強化するなどした規則や方針に変更するよう求めていました。
変更しない場合は助成金を削除するなどと警告し、大学側は21日、それに応じました。
こうした対応を受け、国連が任命した人権問題に関する報告を担当する独立専門家チームのセシリア・バリエ氏は、24日、NNNの取材に応じ、「表現・集会の自由が厳しく制限され、学生に悪影響だ」と批判しました。
バリエ氏によると、大学生は人生の探求や世界を理解しようとする時期にあたり目的を求め、デモ活動などに参加する傾向があることから、一律に取り締まるのではなく、より繊細なアプローチが必要だとしています。
また、政府による大学の助成金削除の警告については、「学問の自由を享受し、創造的に課題へ取り組むべき独立した存在である大学に対し、深刻な政治干渉とみなされる」としています。
バリエ氏は、こうした権威主義的な傾向はアメリカ国内だけに留まらず、世界中で見られるようになると懸念を示し、「表現の場への抑圧が強まるほど社会は二極化してより暴力的になっていくため、対話を通じて平和を推進することが重要だ」と強調しました。