【識者が分析】台湾地震…プレート境界で発生か 断層が“乗り上げる” 東西からぶつかり圧縮?
日本時間の3日午前8時58分に発生した台湾東部沖を震源とする大きな地震について、プレート型地震の専門家で台湾の中央研究院で6年間にわたって台湾の地震の研究をした経験もある名古屋大・安藤雅孝名誉教授によると、プレート境界で発生した地震だとみられるということです。
■「潜り込めない」フィリピン海プレート
台湾はもともと、フィリピン海プレートが図の手前にあたる東側から入り込み、台湾の乗っている西側のユーラシアプレートとぶつかりあっています。日本ではフィリピン海プレートが陸側のプレートの下に潜り込む形が普通ですが、台湾では台湾の東部(※図の赤い部分)でプレート同士がぶつかりあい、フィリピン海プレートは潜り込むことができず、ぶつかったままとなっています。
このプレートのぶつかり合いによって早いスピードで地盤の隆起が起き、台湾の山地を形成してきました。
そして、台湾の東海岸では、このプレートがぶつかり合う付近に南北100キロほどに長くのびる2本の断層が形成されていて、たびたび地震を発生させてきました。
1951年には、10月21日から11月26日までの1か月あまりの短い間に、北側から始まってマグニチュード6を超える大きな地震が12回も連続して発生しました。(※台湾のマグニチュードは、日本の気象庁のものとは計算の仕方が異なる。4月3日の地震は、気象庁はM7.7としているが、台湾ではM7.2としている)
■断層が乗り上げるようなかたちで…地震大国ゆえか
右側の3つの図は2022年に地震を解析したもので、東西に断面をとって地下の様子を示したものです。一番下にある「Aの断面」では、西側に傾斜して下がっている断層(※図の赤いライン)が動いた地震だったことが示されています。
安藤名誉教授によると、「今回の4月3日の地震はBとCの断面付近にあたる断層で起きたものとみられる。図の右側(※図の緑色のライン)に落ち込むような形になる、東側に傾斜した斜面で起きた逆断層型の地震ではないか」といいます。そして、「台湾の被災地周辺では、1階部分に壁がない、柱だけの“ピロティ建築”の建物が多くあったことが、被害につながったのではないか」としています。
この“逆断層型”の地震は、プレートが東西からぶつかり合い、圧縮する形となって、境界付近で断層が乗り上げるような形で起きた地震といえます。まさにプレートの境界付近で発生した巨大な地震、日本と同じような地震大国の台湾だからこそ起きた地震なのかもしれません。