韓国でオーバーツーリズム 住民の980倍の観光客殺到…ゴミや騒音も…
夏休みに人気の海外旅行先の1つ、韓国でオーバーツーリズムが今、問題となっています。住民約6000人の地域にその980倍以上の観光客が訪れる事態となり、ゴミ問題や騒音など様々な問題が発生しているのです。
人気の海外旅行先、ハワイ。夏休みで来ていた日本人も満喫していました。しかし、悩みも…
日本人観光客
「物価高。高いです。テントも2時間で40ドル(約6000円)。何するにも10ドル、20ドルなので、家族が5人いると100ドル(約1万5000円)。すごく高いです」
円安が負担になっているのです。
日本人観光客
「朝ご飯とか食べて6000円くらいいっちゃうので、ちょっとビックリ」
新婚旅行で訪れていた2人は、職場などへのお土産にクッキーを探しますが…
新婚旅行中の佐藤さん
「50ドルってことは7500円? やばいね」
高価なお土産もハネムーンの思い出に。
新婚旅行中の佐藤さん
「クッキーに3万円とか買ったことない」
「脇汗ね」
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一方、ハワイに次いで、今年の海外人気旅行先ランキングで第2位の韓国。(JTB 2024夏)
いまソウルで特に人気となっているのが、韓国の伝統的な家屋「韓屋(ハノク)」を改装したカフェなどの飲食店です。古風で風情ある建物が若い世代には新鮮にうつるようです。
利用客
「天井が高くてパッと開けた感じが、祖母の家に来たような感じがします」
その韓屋が多く集まるエリア「北村韓屋村(プッチョンハノクマウル)」は、写真映えする、いわゆる「映えスポット」として人気を集めていますが、近年、観光客が増えすぎたことによる「オーバーツーリズム」が大きな問題となっているといいます。
現場に行ってみると…
記者
「人の家の軒先ですが、入り込んで写真を撮っています」
実はこの北村韓屋村では今でも多くの一般の市民が伝統的な家屋、韓屋で生活しています。地元自治体によると、住民の数は約6100人。これに対し、年間600万人前後、つまり住民の980倍以上の観光客が訪れていると推計されています。
取材をすると…
記者
「このカップル、軒先に座り込んでいます」
住宅の前には「上がりこまない」ように求める注意書きがありますが、暑さの中、休憩しているのでしょうか。
さらにはポイ捨ても問題になっています。観光客向けの店を営む人は…
店の人
「アイスクリームを食べて捨てていったり、店の外にゴミがあれば私が捨てたり。こうやって食べては捨てるんだよ、たばこの吸い殻も」
さらに住民が困っているのが騒音です。
看板には、日本語でも「静かにしてください」と書かれていました。3年前から、このような看板を設置し、注意を呼びかけていますが、改善していないといいます。
さらに、取材中、観光客を乗せるためでしょうか、タクシーが路地に入り込んでいました。
こうした状況を受け、地元自治体は韓国初の「特別管理地域」に指定。地域をいくつかのゾーンに分け、訪問客が多い地区は観光客の訪問が午前10時から午後5時までに制限されることになりました。来年3月から本格導入され、違反時には過料の対象になります。
すでに地域の住民たちも広報を始めていました。
地域住民
「住民が観光客により多くの不便を強いられている。あまりにもうるさくて住民は休むことができない。ゴミをむやみに捨てるとか、汚物を捨てるとか、ドアの隙間からのぞいたりとか、かなりプライバシーの侵害を受けているのが現実だ」
こうした状況に観光客は…
日本からの観光客
「日本でも京都がオーバーツーリズムが問題になっていると思いますけど、似たような現象が起きているんだなと。ここに住んでいる方には迷惑になっていると思いますし、気をつけなければと思いました」
地域住民と観光客の共存。アフターコロナの新たな試みが定着するのか注目されます。