イスラエル“地上作戦”開始も……「人質の安全」「ハマス掃討」で板挟みか 国内世論「侵攻待った方が」49% 戦闘終結は?
イスラエル軍による大規模な「地上作戦」が始まりましたが、終わりは見えるのでしょうか。今後について防衛省防衛研究所の主任研究官に聞くと、『板挟みのイスラエル』『じわじわと長期戦』『生き残り狙うハマス』という3つの側面が浮かびました。
■大規模な地上作戦、今後どうなる?
有働由美子キャスター
「イスラエル軍は地上での作戦を展開しています。ガザ地区の北部、北側から進軍し、最新の情報では戦車などの部隊がガザ地区の北部、ガザ市の郊外で大規模な地上作戦を行っているとされています。これで本格的な地上の作戦が始まったとみていいのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「地上作戦は始まりましたが、このまま突き進んでいくかは分かりません。イスラエルにも事情があります。防衛省防衛研究所の主任研究官・西野正巳さんに聞くと、『板挟みのイスラエル』『じわじわと長期戦』『生き残り狙うハマス』という側面が見えてきました」
■イスラエルが「板挟み」になる事情
小野委員
「今、ネタニヤフ首相が最も気を使っていることの 1 つが、イスラエル国内の世論です。27日発表の調査では『ただちに地上侵攻すべき』と答えた人が 29%だったのに対し、『人質解放のために地上侵攻を待った方がいい』とした人は半数近い 49%でした」
「後ろ盾となる、慎重なアメリカにも気を使っています。アメリカ人の人質もいます。中東全体に軍事衝突が拡大する可能性も心配しています。そのためイスラエルは『人質の安全確保』と『ハマス掃討』の板挟みになっているのではないか、と西野さんはみています」
■周りを封鎖され…戦闘は長期化の恐れ
有働キャスター
「そうすると、今後イスラエルはどうしていくのでしょうか?」
小野委員
「イスラエルの地上作戦は、このままじわじわと拡大され、戦闘は長期になる可能性があると西野さんは見通しています。ハマスは周りを封鎖されて逃げ道がないので、イスラエルはじわじわと時間をかけてもいいと考えている可能性があるといいます」
有働キャスター
「長期にわたれば、ガザの市民がますます極限状態に追い込まれるということになります」
小野委員
「水も食料もありません。医薬品や燃料も必要になります。このままでは底をつくのが目に見えています」
「西野さんは『国際社会からの批判も大きくなるので、イスラエルは今まで以上の量の支援物資の搬入を認めざるを得なくなるのでは』と話しています。それでも決して、十分な量が行き渡るとは思えませんが…」
■ハマスの狙い 戦闘終結への道筋は?
小野委員
「ハマスが生き残りを狙っていることが、戦闘終結を難しくしています。全くやぶれかぶれになっていません」
「ハマスは、イスラエル軍が攻撃しにくい病院や学校、モスク、住宅などの下に拠点を置いたり、人質を使った戦略を取ったりして、イスラエルの攻撃を食い止めて停戦に持ち込みたい。そしてガザで組織として生き残ることを考えているといいます」
「対するイスラエルは、ハマスを壊滅させる目標を変えていないため、先は見えません」
有働キャスター
「イスラエルが仮にハマスを倒したとしても、その後のガザ地区をどうするのかという青写真がないと、将来的にはマイナスが大きいですよね」
「そして今この時も起きている市民の犠牲や人質の命を考えると、今できることは、アメリカをはじめ国際社会が停戦を求めることしかないと思えてなりません」
(10月30日『news zero』より)