イスラエルの狙いは?「ラファ地上作戦」にこだわる理由
パレスチナ自治区ガザ地区で戦闘が始まってから7日で半年。ガザ地区での死者は3万3000人を超えました。今、最も懸念されるのは、人口の半分以上が集中しているという南部・ラファへの侵攻にイスラエルが踏み切るかどうか。イスラエルから後閑駿一記者の報告です。
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私の奥に見えるのが、150万人にのぼる避難民が身を寄せる、ガザ地区南部の街・ラファです。時折、地響きのような重低音が鳴り響いているほか、空爆によるものでしょうか、建物が壊れているのが確認できます。
――Q.ラファの地上作戦への懸念が高まっていますが、今後はどうなりそうでしょうか?
イスラエル政府はアメリカ側と協議を続けています。しかし、住民の避難にかかる期間などをめぐって隔たりは大きく、現時点では、イスラエル側は、ラファでの作戦が必要不可欠という強硬姿勢を崩していません。
というのも、今もガザ地区で拘束されている130人以上の人質をめぐってハマス側との交渉が難航しているため、軍事行動による圧力で、人質の解放を進めたいという狙いがあります。
さらに、「ハマスのせん滅」という目標に向け、ラファにあるハマス側の拠点を破壊しなければならないという点も、地上作戦にこだわる理由の1つとなっています。
先月、イスラエル国内で行われた世論調査では、約半数が、どのような状況でもラファでの地上作戦を支持していて、民間人の保護などの条件付きでの支持を含めると、82%の国民がラファでの作戦に賛成しています。
一方で、40%が国際世論を考慮しながら戦闘を続けるべきだと答えていて、イスラエルの軍事行動に欧米などから厳しい目が注がれる中、孤立化していくことへの懸念も出始めています。