海軍視察に娘が同行か 金正恩総書記 “戦術核を配備する方針”語る 韓国を初めて「大韓民国」と呼び突き放す?
29日朝、北朝鮮の国営テレビは、金正恩総書記が27日、海軍司令部を視察した様子を報じました。
朝鮮中央テレビ アナウンサー
「敬愛する金正恩同志が、“愛するお嬢様”とともに、海軍司令部に到着しました」
海軍幹部と握手を交わすのは、白いジャケットに身を包み微笑みを浮かべる、金総書記の子・ジュエ氏とみられる娘です。
海軍から説明を受け、地図を指差しながら熱弁をふるう金総書記。海軍幹部が熱心にメモをとる隣で、娘も耳を傾けています。
兵士らによるバレーボールの試合を観戦し、笑顔も見せる場面もありました。
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金総書記の“娘”の映像がときおりクローズアップされる狙いについて、専門家は次のようにみています。
北朝鮮の政治に詳しい 慶応義塾大学 礒﨑敦仁 教授
「(娘が)金正恩氏に準じる姿を見せていて、周りの幹部たちも大変大切に扱っている。北朝鮮の人から見れば、ジュエ氏(とみられる娘)は”後継者候補”と映る」
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一方、金総書記は兵士らを前に、今月18日の日米韓首脳会談を「ごろつきの集まり」と表現しました。
金総書記
「少し前にアメリカ、日本、大韓民国の“ごろつきのボスたち”が集まった」
さらに、熱狂する人民に「朝鮮半島は最も不安定な核戦争危険水域と化した」と述べ、戦術核を海軍に配備する方針を明らかにしたのです。
礒﨑教授は、これについて、「最近北朝鮮側から“戦術核”という言葉がよく出てくる。(抑止力ではなく)実戦で使う可能性のある核として開発を進めていくということで、これは韓国を意識したもの」だとみています。
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その韓国をめぐっては、金総書記が今回の演説で初めて『大韓民国』と呼んだことが注目されています。
礒﨑教授は、「同じ民族の一部としての『南朝鮮』ではなく、アメリカの手先になっている『大韓民国』ということを、カッコづきで揶揄(やゆ)しながら扱っている」としたうえで、韓国に対し、「統一を目指す相手ではなく別の国家だ」と突き放す姿勢をとっている、と分析しています。
結束を強める日米韓は29日、合同訓練を実施しました。
北朝鮮のさらなる反発も懸念されます。