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“崖っぷち”韓国大統領の逮捕は? 「最後までたたかう」強気ナゼ 最高で死刑…検察側「内乱の首謀者」【#みんなのギモン】

2024年12月14日 12:28
“崖っぷち”韓国大統領の逮捕は? 「最後までたたかう」強気ナゼ 最高で死刑…検察側「内乱の首謀者」【#みんなのギモン】
韓国の国政が混乱を極めています。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領への2度目の弾劾訴追案が提出され、検察は「内乱の首謀者」とみなしています。支持率も厳しい数字になっていますが、大統領は強気の姿勢を崩しません。今後どんな展開になるのでしょうか?

そこで今回の#みんなのギモンでは、「韓国大統領 進退どうなる?」をテーマに解説します。

■大統領「野党の悪を知らせるために」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案は、14日の夕方、韓国の国会で採決が行われる見通しです。これが可決されたら尹大統領はどうなるのか、さらには逮捕もあり得るのか。ギリギリの攻防がどうなるか見ていきます」

「今、尹大統領は崖っぷちにいます。その中で、『野党こそが国政をまひさせた』『野党の不正を捜査する検察を、野党は妨害しようとした』『野党の悪を国民に知らせるために非常戒厳令を発動した』『正当性があるのは私だ』と主張しています」

■国民向け談話で「最後までたたかう」

小野解説委員
「国民に向けた12日の談話では、このように述べています」

尹大統領
「(野党は)なんとか内乱罪をつくって大統領を引きずり降ろすため数々の虚偽の扇動を生み出しています。(野党が)国政を掌握し、大韓民国の未来を脅かす事だけは、どんなことがあっても防がなければなりません。私は最後までたたかうつもりです」

■戒厳令が影響…不支持率は85%

小野解説委員
「『最後までたたかう』と言っています。つまり、大統領の座を退くつもりはないという態度を表明しました。強気ですね。ただ実際は四面楚歌です。まず、国民は冷めています」

「最新の世論調査(韓国ギャラップ、12月10日~12日調査)では、大統領の支持率は11%と過去最低を更新。不支持率は85%で、支持しないと答えた人のうち49%、約半分は戒厳令がいけなかったと考えているそうです」

鈴江奈々アナウンサー
「戒厳令は国民の権利を強烈に制限するもので、そこに対して反発も大きかったということなんですね」

小野解説委員
「そして、野党が一丸となって大統領をやめさせようとしています。弾劾訴追案を出すのは2度目になります。今度こそ、と12日に国会に提出しました。これが可決されるかどうか、今ギリギリの攻防です」

■弾劾訴追案「可決」のための条件は

小野解説委員
「というのも、議員300人のうち3分の2、つまり200人の賛成で弾劾訴追案が可決します。今は野党が192人で、あと8人。与党から8人の造反が必要だという状況です」

「そこで今、与党はどうなっているのか。これまでに7人の議員が造反して弾劾訴追案に賛成すると表明しています。あと1人造反して賛成すれば可決されます。この1人がどうなるかで、事態は大きく変わります」

森圭介アナウンサー
「韓国国内の報道を見ていたら、造反の7人の顔と名前が大きく報じられていたんですよ。それだけ韓国国内でも注目されているということが伝わってきました」

■やめさせる?…「憲法裁判所」が判断

小野解説委員
「今、国民の目がそこに集まっています。可決されたらどうなるのか。まず尹大統領は職務を停止され、その間は首相が職務を代行します」

「ただあくまで代行であり、外交に影響しそうです。代行で首脳会談をやるのか。日本ともそうですし、アメリカではトランプ次期大統領が来年1月に就任。国としてどう向き合うのか、見通せなくなってしまいます」

「実際にやめさせるかどうか判断するのは、憲法裁判所です。国会が弾劾訴追を決めた日から180日以内に判断します。朴槿恵(パク・クネ)元大統領の時は約90日で罷免の判断が下りました。大統領を本当にやめさせるかどうか判断するのは、大変なことです」

「罷免となれば、その後は大統領選挙です。罷免されて60日以内に選挙が行われます。このような流れですが、尹大統領はやはりまだ強気です」

忽滑谷こころアナウンサー
「大統領にとってはかなり不利な条件がそろってしまっている気がするんですが、『最後までたたかう』という発言もありました。自信が湧いてくる要素というのはあるのかなと思ってしまいます」

小野解説委員
「あるんです。憲法裁判所です。裁判官の定数は9人で、6人以上の賛成で罷免が決まる。これが本来の姿です。実際どうなるかわかりませんが、今は過半数が与党寄りです。必ずしも尹大統領にとって不利ではないということです」

「そのため尹大統領はまだ勝算があるとみて、徹底的に争うという姿勢なんです」

■韓国警察「要件が整えば緊急逮捕も」

森アナウンサー
「野党としては弾劾訴追案を絶対に通したいと思うでしょうし、憲法裁判所も時間がかかる。この間は韓国の国政が停滞することは間違いないわけですよね」

小野解説委員
「国政の停滞でいえば、尹大統領が逮捕されるかどうか、今そこもギリギリの攻防です。11日、韓国警察は大統領府の家宅捜索に踏み切りました。『要件が整えば緊急逮捕することも可能だ』としています」

■内乱罪は「不訴追特権」の例外

小野解説委員
「検察も、尹大統領が非常戒厳を宣言したことをめぐっては内乱の疑い、職権乱用の疑いがあるということで捜査をしています。検察は尹大統領を、内乱の首謀者だとしています。『内乱』というのがポイントです」

「韓国の大統領は在職中には訴追されないという特権がありますが、内乱罪は例外です。身柄の拘束や訴追が可能になります。さらに、内乱罪の首謀者は最高で死刑になるといいます。非常に刑が重いんです」

「尹大統領には現職としては初の出国禁止措置も取られていて、捜査機関は徹底的に調べる構えです」

■逮捕の可能性は? ソウル支局長に聞く

刈川くるみキャスター
「この刑の重さから見ても、戒厳令がどれほどの威力を持つのか分かります。実際に尹大統領が逮捕される可能性は今、どれぐらいあるんでしょうか?」

小野解説委員
「本当に逮捕はあり得るのか、NNNソウル支局の横田明支局長に聞きました。『検察はかなりスピード感を持って捜査を進めていて、尹大統領が立件される可能性も高まっているとは言える』と話します」

「ただ、現職の大統領を逮捕するのはハードルが高いという見方もあるそうです。そもそも現職の大統領の逮捕は韓国では前例がありません。混乱はさらに大きくなります。『この状況であえて逮捕に踏み切るのか』という指摘も上がっているといいます」

「逮捕があるとすれば、弾劾訴追案が仮に可決するなどして職務停止中であれば国政を担う代行者はいるので、逮捕の可能性はなくはないという見方もあるということです」

鈴江アナウンサー
「外交面で考えた時に、(首相が大統領の職務を)代行する形で成立するのかという懸念もあります。隣国の日本にとってもそこの影響は免れないんじゃないかという点でも心配されます」

小野解説委員
「あくまで強気な大統領。そして、与党と野党のギリギリの攻防が行われています。混乱が当面続きそうです」

(2024年12月13日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】
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最終更新日:2024年12月14日 12:28