【ノーベル平和賞】まもなく授賞式「想像してもらい“自分事”として考えて」被爆地の思いを世界へ《長崎》
ノーベル平和賞の授賞式が、いよいよこのあと約3時間後に行われます。
現地のノルウェー・オスロの会場には取材を続ける桒畑アナウンサーがいます。
(桒畑笑莉奈アナウンサー)
ノルウェー・オスロのノーベル平和賞授賞式の会場前です。
9日の中継でお伝えしたのはこの反対側からでしたが、正面はこのように大きな時計や鐘も設置されていてより華やかな感じがしますよね。
授賞式に出席する皆さんは、この扉から会場の中に入られるということです。
いよいよノーベル平和賞の授賞式まで、3時間ほどとなりました。会場の周辺は、厳重な警備もしかれていまして、朝早い時間から警備の人が訪れていました。
出席者の皆さんは、この会場近くのホテルに宿泊しているんですが、ホテルでは先ほど記念撮影の時間が設けられました。
オスロは現在午前10時過ぎですが、授賞式に出席する代表団の皆さんはこのあと会場入りし、メダルと賞状が贈られます。そのあと、日本被団協を代表して長崎で被爆した代表委員の田中 熙巳(てるみ)さんが演説を行います。
式を前に行った9日の会見では改めて決意を語りました。
(日本被団協 田中煕巳 代表委員(13歳の時 長崎で被爆))
「核兵器を使うことが軽く語られるような時代になったということは、大変私どもにとっては遺憾。核兵器情勢について、また新たな改善への開拓への前進が生まれるのではと期待している」
ノーベル平和賞の授賞式を前に9日、記者会見に臨んだ日本被団協代表委員の田中 煕巳さん92歳。
授賞式では代表して演説を行う予定で、核兵器の非人道性を訴え、“廃絶”を求めます。
(日本被団協 田中煕巳 代表委員)
「私どもは広島と長崎で核兵器を使ったらどういうことが起こるか、目撃し体験してきた。最大限の力を振り絞って『核兵器というのは人類に存在させてはならない』ことを、若い人たちに伝えていきたい。できる限りの力を振り絞って、伝えていきたい」
この日は会場となるオスロ市の庁舎で、リハーサルが行われました。
式には、長崎や広島の被爆者や高校生が出席します。
(日本被団協 和田征子事務局次長(1歳の時 長崎で被爆))
「みんなで作り上げたもの。被爆者の気持ちが本当に伝わればいいと思っている。
皆さんに共有して想像してもらって、自分事として考えてもらえるようになってほしい」
また ノーベル平和センターでは、日本被団協の受賞を記念した展示会が開かれる予定で、授賞式の翌日にオープニングセレモニーが行われます。
テーマは『人類へのメッセージ』。
会場には、原爆投下後の様子がわかる写真や絵が展示されます。
(高校生平和大使 津田 凛さん(長崎東高2年))
「被爆者のメッセージを伝えるためにここに来た」
一方、高校生平和大使4人は9日、現地の高校に出向き、被爆者の体験をもとに原爆の悲惨さや、核兵器廃絶を訴える出前授業を行いました。
(高校生平和大使 津田 凛さん(長崎東高2年))
「私の祖父は何度もがんを患っている。原爆の影響は79年たった今も続いている。生き残った人たちものちに病気を患い亡くなっている」
そして 平和への願いを込めて折り鶴を制作。
現地の高校生に鶴の折り方を教えながら、ひとつひとつ丁寧に完成させました。
(高校生平和大使 大原 悠佳さん(長崎西高2年))
「高校生の方々が真剣に私のつたない英語を聞こうとしてくれて、そういった相手のことを思うような気持ちが “平和につながっていく” と改めて思うことができた。世界には温かい心を持って平和を望む人がいるからこそ、私たちはもっと声を上げて、平和な世界を作っていく必要があると感じた」