「アイス」の歴史をヒモトク! 最初に食べたのは徳川幕府の遣米使節? 発売50周年の商品がアメリカで人気
5月9日は「アイスクリームの日」です。1964年の5月9日に、夏に向けてアイスの販売を増やそうとイベントを行ったことから制定されました。その歴史は意外と古く、日本人がアイスと出会ったのは江戸時代だといいます。そして、日本に昔からある“あのアイス”が今、アメリカで人気になっているということです。大人も子どもも大好きな「アイス」の意外な歴史をひもときます。
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「アイス」にはいくつか種類があり、「アイスクリーム」や「かき氷」など成分によって分かれています。今回は、それらを総称し「アイス」として話を進めていきます。
日本アイスクリーム協会のホームページによると、昭和50年代、60年代には次のようなアイスが販売されていました。
昭和50年代(1975~1984年)
「カリッポ」「宝石箱」「パティーナ」「ビエネッタ」「ホームランバー」「ガリガリ君ソーダ」
昭和60年代(1985~1989年)
「サクレレモン」「たい焼アイス」「ビッグコーン」「スイカバー」「アイスボックス」「キャデリーヌ」
日本テレビには、1962年に撮影されたアイスクリーム工場の映像が残っていました。機械により、コーンやカップにアイスが注がれている様子が確認できます。この時代にすでに機械化が進んでおり、現在とそれほど変わっていない印象も受けます。
日本人はいつ、アイスと出会ったのでしょうか。
今から160年以上前の1860年、江戸時代に徳川幕府がアメリカに派遣した使節団が最初にアイスを食べたと言われています。この使節団は、日本がアメリカに派遣した初めての公式使節団です。この時、一緒にアメリカに向かった人たちの中には、勝海舟と福沢諭吉もいました。もしかしたら、この2人もアイスを食べたのかもしれません。
そして、日本で最初にアイスが販売されたのは、明治に入ってからです。9日、記念イベントが行われた神奈川・横浜の馬車道で、当時の味を再現した商品「あいすくりん」が販売されました。「あいすくりん」は、今でいうとシャーベットのようなものだったと言われています。取材したカメラマンが食べたところ、「カスタード味の優しい甘さだった」ということです。「あいすくりん」の名前の由来ですが、ネーティブによる「アイスクリーム」の発音が、「あいすくりん」に聞こえたという説があるそうです。
昔から愛されてきたアイスですが、その売り上げは年々伸びています。総務省統計局の家計調査によると、2人以上の世帯におけるアイスクリーム・シャーベットの年間支出額は、2013年には8115円でしたが、2022年には1万847円となりました。少しずつ、この10年でおおむね右肩上がりとなっています。
日本アイスクリーム協会によると、季節限定の味を出すなど夏場以外もアイスを買う人が増えているのではないかということです。
そのアイスに最もお金を出している年代は、実は「40代」です。協会によると、40代は自分のためだけでなく、家族や子どもに買う人もいるため、払うお金が高くなっているのではないかということです。
【アイスクリーム・シャーベットの支出額】
(2022年2人以上の世帯・総務省統計局家計調査より)
20代以下 9530円
30代 1万3211円
40代 1万4847円
50代 1万1594円
60代 1万409円
70代以上 7869円
人気のアイスですが、国内だけにとどまりません。
今年で販売開始から50年の節目を迎える、井村屋の「あずきバー」は今、アメリカでも売り上げが伸びているということです。井村屋によると、アメリカを中心とした「あずきバー」シリーズの海外輸出額は、2020年度から2022年度の2年間で約2.7倍に増えたといいます。アメリカでの健康志向の高まりと、あずきのイメージが合致したことなどが、売り上げが伸びた要因ではないかということです。
日本の多種多様なアイスが、これからまた世界に広がっていくかもしれません。