増える「不登校」――“もう1つの居場所”が中学校に3年女子「ポジティブな感情に」無事に卒業…校長のエールは『every.特集』

全国的に増える、不登校の子どもたち。都内の公立中学校は、教室に入りづらいと感じている生徒が気軽に立ち寄れる「居場所」を校内に設けました。2年生の時は不登校だった生徒は、この場所に支えられて学校に通えたといいます。この春、無事に卒業を迎えました。
東京・池袋にある豊島区立西池袋中学校。昼過ぎに、1人の女子生徒が登校してきました。彼女は中学3年生です。向かったのは、クラスメイトが待つ教室ではありません。
様々な理由で教室に入れない生徒が過ごすために用意された部屋に向かいました。この日は同じような生徒が、他にも2人いました。みんな、給食は1人。彼女も、話すことなく無言で食べていました。
「友だちに会いたいけど、会いたくないみたいな。自分だけ気まずいって感覚。自分が勝手に緊張したり、おなか痛くなったり」
彼女の不登校は小学6年生の頃から始まりました。新型コロナウイルスによる休校がきっかけで、学校を休みがちになりました。
そのうち教室に入りづらくなり、中学2年生で完全に不登校に。3 年生になり、ようやく学校に足が向くようになりました。
女子生徒は「高校に行きたいという気持ちがあるから、学校に行くことに慣らしておきたいなって。毎日朝から(学校に)来られる人になりたいなって」と希望を語ります。
しかし、まだ教室に入ることはできません。1人で本を読んだり、勉強したりしながら過ごしています。
ただ、彼女にはもう1つの居場所があります。午後1時半、向かったのは校内のとあるスペースでした。ついたての奥に入っていくと、スタッフから「やる? ここどうぞ」と声をかけられました。
不登校の生徒を増やすまいと、学校と教育委員会が連携して去年5月につくったスペース「にしまるーむ」です。教室に入りづらいと感じる生徒が気軽に立ち寄り、何気ない会話を楽しんだり遊んだりできます。彼女もここでは、打って変わって笑顔を見せていました。
この日は4人の生徒の他に、大人たちの姿も。「大富豪する?」「大富豪わかんない」「知らない? 教えよっか」と、生徒らとやり取りしていました。大人たちはNPOのスタッフで、運営に協力しています。