“過去の遺産”? プールで目を洗う蛇口「洗眼器」目のトラブルの可能性も…
プールで泳いだ後、蛇口から出る小さな噴水のような水で目を洗ったことがある人もいるかと思います。かつては当たり前だった光景ですが、令和の今、過去のものとなっています。
◇
暑い夏に欠かせないプール。その片隅でいくつもの時代をこえてきたのは、目を洗うための蛇口、「洗眼器」です。
40代
「普通に目に当ててバシャバシャって」
40代
「プール行くと必ず最後やって帰るのが普通かなと思ってました」
40代
「あった! そういえば小学校の時」
噴水のように水が出てくる姿に、懐かしいと感じる人も多いのではないでしょうか。
竜宮城スパホテル三日月・企画室 長谷川友太さん
「2000年にオープンした当初から設置されています」
竜宮城スパホテル三日月は1年を通してプールの営業を行っていますが、ここ数年、使う人はほとんどいないといいます。
竜宮城スパホテル三日月・企画室 長谷川友太さん
「あまり私は…。まだ今年は一度も見かけていないですね」
プール日和となった11日、蛇口を使う人がどれだけいるのか、確認してみると、お客は素通り、使った人は“ゼロ”でした。
やっと使う人が現れたと思いきや…
小学6年生
「手洗おうと思ったら、すごく水出てきて、上から。ビックリしました」
手洗い場と勘違いしていました。目を洗う蛇口と説明すると…
小学6年生
「初めて知りました」
そもそも使い方を知らなかったという子供もいました。
◇
当たり前のようにプールにある目を洗う蛇口。ただ眼科医に聞いてみると、使い方によっては目のトラブルにつながる可能性もあるといいます。
ケイシン五反田アイクリニック 内野美樹医師
「洗眼器ですけど、水圧が強かったり弱かったり様々ですが、角膜の表面にある保護する膜を洗い流してしまうという形で、逆に角膜に傷がついてしまうのも否定できません」
内野医師によりますと、水道水での軽い洗眼は行っても良いとのことですが、目薬を数滴さして汚れを洗い流すことをおすすめしているといいます。
日本眼科医会でも2008年に、「目の周りなどを簡単に洗う対応は必要ですが、積極的に推奨するものではない」との見解を示しているのです。
こうした背景などから、令和の今、小学校のプールでは…
Q.触ったことある?
小学2年生
「ううん、ない」
10年ほど前から授業で目を洗う指導を行っていないといいます。
葛飾区立葛飾小学校 牧野昭太郎校長
「我々教師のほうも存在を素通りするくらいで忘れてくるような感じになってきましたので、これは過去使っていたものという感じで捉えています」
「洗眼器」はすでに“過去の遺産”になっていました。
使わなくなった理由はほかにもありました。
記者
「みんなゴーグルつけてますね」
ゴーグルが普及したため、プールの水が目に触れる機会が少なく、保護しやすくなったことも影響しているといいます。
以前は当たり前だった夏の光景。時代とともに変化しているようです。