ウガンダではカツカレーが人気?!...地域食材を活かした“日本食”の提供で新たな価値観の提供に挑戦する日本食レストラン経営者にインタビュー
今回のゲストはCOTS COTS LTD.の宮下芙美子さん。アフリカのウガンダで農村部の食材や近隣の海産物を“日本食”として提供し、新たな価値の創出を行えるようなレストラン経営を行っています。その取り組みに“1分間で社会を知る動画”を掲げる「RICE MEDIA」のトムさんが迫りました。
日本食はウガンダで認知度高い?
宮下さん「ウガンダでは日本食の認知度はまだまだ低いです。
ウガンダ国内に日本人ではない方が経営している日本食店が何軒かある感じです。
大人気というわけではないからこそ、自分たちが最初に入って日本食レストランに挑戦する意味があると思いました。
現在わたしたちは、農産物の物流事業に携わるメンバーも含めると、日本人が3名、ウガンダ人は40名弱います。
一番人数が多いのは、レストランの経営に携わるメンバーです。
100席ほどあるレストランなので、滞りなく回すことができる人数のメンバーに接客や調理で携わってもらっています」
トムさん「人気なメニューとかはありますか?」
宮下さん「リピート率が高いのは、日本のカツカレーですかね。前提として、ウガンダは食品の輸入が結構大変なのですが、インド人の方が多いのでスパイスは手に入りやすいんです。
こちらで手に入るスパイスをうちの料理長がオリジナルで調合して、日本のカレーに近い味に仕上げています。その甲斐あって人気メニューです。
お寿司などの生ものは、やはり衛生的な面で心配される方がいます。
ウガンダの食文化で生でお肉やお魚を食べるということがほぼないので、しっかり火を通してという感覚で生活している方が多いためです。
なので、初めて聞いた時には『うっ...』と思う方が結構多いような気がします。
そんな中でも初めて食べられる方は『サーモンが食べやすい』と言ってくださる方が多いです」
ウガンダの食材に日本食を通じ意味づけ
宮下さん「例えば、お寿司に欠かせないお魚なんかも。ウガンダは内陸国なので、国内ではシーフードが手に入らないんです。
お隣のタンザニアまで足を運んで、間に入ってくださる仲買人の方とか漁師さんとやり取りをして、“こういう魚はこういうクオリティで出してほしい”ということを調整しています。
時々、日本企業さんのお力も借りたりしながら、一緒に品質の調整をして安心して提供できるように工夫しています。
お野菜は自社農園もやっていて、そこでは仕事の機会がない若い方に労働力を提供してもらって、一緒に日本の野菜を生産しています。
アフリカって一般的に暑いというイメージを持っている方が多いと思うんですけど、ウガンダは標高が高くて、年間を通じて大体20〜25度くらいで意外と涼しいんです。
なので農業的には結構恵まれている国と言えるかと思います。
育てている日本の野菜は、例えば水菜と大根です。ウガンダの他の場所では手に入りにくいような日本のお野菜を自社農園で生産してます。
ウガンダの契約農家さんともたくさん繋がりを持たせていただいていて、そういったところから直接買っているお野菜もあります。
生産が難しいのは、シソとかハーブなので、そういった難しいものに関してはプロの農家さんに委託してお願いしております」
影響を与えている要素と宮下さんが挑戦したい未来
宮下さん「いまウガンダで開いているレストランは、在住外国人の方もいろいろな方が来て、すごくグローバルな場所になっています。
素材の調達に絡めていうと、都市と農村の格差がすごくある状態です。
都市部は経済発展により所得が伸びて生活が変化している中、農村部はおいてかれていると感じています。
農村部の食材を使って日本食という付加価値をつけて提供することで、都市部の富裕層の方にお金を使ってもらい、ウガンダの農村と都市部の格差みたいなものも縮めていけるとよいなと考えています」
トムさん「未来の話かと思うんですけど、ここからどういった事業展開をしたいみたいな部分も教えていただけますか?」
宮下さん「コロナの影響を飲食店なのでやはり受けてまして、そこからようやく回復して次のステップをやっと考えられるようになってきました。
よく聞かれるのですが、これだけ大きな建物を使用して拠点を作っているので、『一生ウガンダに骨をうずめるのですか?!』と聞かれることがあります(笑)。
将来的にはウガンダだけではなく、1つの取り組みとして同じ東アフリカでもケニアとか、タンザニアとのつながりで新しい事業を検討しているイメージです。
レストランみたいに広げていくとしても、ウガンダでのレストラン事業をただコピー&ペーストな手法で展開することは考えていません。
基本はサプライチェーン、バリューチェーンの中で関わってくださってる方と一緒に価値を作り上げるという姿勢が大切だと考えています。
例えば、生産者の方との繋がりをお皿の上や、テーブルの上で体現することは、“Farm to Table”として大切にしている価値観の1つです。
そういった目線で価値を作り上げていく中で、レストラン以外の手段を取ることももちろん考えています。
今までやってきたことにこだわらず、その経験を生かして新しく広がる世界があればどんどんチャレンジしていきたいと思ってます」
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本記事は、日テレNEWS NNN YouTubeチャンネルメンバーシップ開設記念番組「the SOCIAL season1」の発言をもとに作成されています。