日本人は「世界一座りっぱなし」? “1日8時間以上”で死亡率上昇?…座りすぎを減らす工夫は 【#みんなのギモン】
皆さんは、1日どれくらい座っているか意識したことありますか? 意識してみると、“意外と座っている時間が長い”という人も多いのかもしれません。座りっぱなしで死亡リスクが増加するといいます。次のポイントを中心に詳しく解説します。
●日本人は世界一座りっぱなし?
●立ち上がれ! 国が推奨へ
■座っている時間…日本人は「最長」 “死を招く可能性”専門家は警鐘
日本人は座っている時間がとにかく長いです。
厚生労働省の調査によると、平日1日の座っている時間について「8~10時間未満」「10時間以上」と答えた人の割合はそれぞれ次のようになっています。
●「8~10時間未満」
男性12% 女性13%
●「10時間以上」
男性26% 女性20%
このような日本人が座って過ごす時間は、世界20か国の中で「最も長い」ということがわかっています。専門家によると、日本ではデスクワークが多いことや、仕事の時間が長いことも要因だといいます。
こうした長時間の座りっぱなしが健康に及ぼすリスクがあります。早稲田大学の岡浩一朗教授に話を伺いました。
そもそも、人間の筋肉は70%が下半身に集中しています。座りっぱなしだと、太ももやふくらはぎなどの筋肉がずっと動かない状態になるため、血流が悪くなり高血圧になったり糖の代謝が悪くなったりします。そのため、太りやすく血糖値が高くなり、メタボリックシンドロームになりやすくなります。
高血圧、肥満、糖尿病が重なると、結腸がんや乳がん、心血管疾患や脳卒中のリスクが高まり、死亡率が上がるのです。
この死亡率が上がる分岐点となる数字があります。1日の中で座っている状態が「8時間以上」になると死亡率が上がると岡教授は指摘しています。
座った状態が1日4時間未満の人と比べた死亡率は、8時間以上11時間未満で1.15倍、11時間以上になると1.40倍になるという研究結果があるといいます。
座りすぎることで死を招く可能性すらあると、岡教授は警鐘を鳴らしています。
この座りすぎの状況を厚労省も問題視しています。27日、専門家検討会が運動の目安となるガイド案をまとめました。
歩行や、歩行と同じ程度以上の活動について、成人は1日60分以上・歩数にすると8000歩以上、高齢者は1日40分以上・6000歩以上となっています。もしくは、筋力トレーニングを成人、高齢者ともに週2~3日行うのが目安ということです。
成人は、腕立て伏せやスクワットのほか、筋トレマシンやダンベルなどを使ったものです。高齢者は、ラジオ体操やダンス、ヨガなども含めて転倒に注意して行いましょうということです。
「週2~3日」はハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。これはあくまでも目安で、例えば1回に20分以上続けないといけないというわけではないそうです。
高齢者に対しては、毎日6000歩までは歩けなくても、まずは今より10分多く体を動かすよう心がけましょう、と呼びかけています。
また、普段の生活の中でも、できることがあります。
例えば、掃除機をかける、床磨きをする、風呂掃除をすることや、自転車に乗る、階段を上るといったことでもいいです。今の時期ですと、スコップで雪かきをするのもかなりの運動になります。
こうした短い時間の積み重ねでも効果が得られるので、ライフスタイルに合わせて取り組むことが大事だということです。
厚労省はとにかく、すべての人に対して少しでも座っている時間を減らして、活動量を増やすことを推奨しています。
岡教授のオフィスには、「昇降デスク」というものがあります。高さを上げたり、下げたりすることができる机です。簡単に切り替えられるので、座りっぱなし防止のほか、例えば眠くなるような時間帯に立ち仕事に変えれば仕事の生産性もアップするということです。
岡教授は、立っているだけでも筋肉の活動は行われるので、まずは立ち上がることが大事だと話しています。
1回座ってしまうと、なかなか動けなくなってしまうのではないでしょうか。そのため、まず立っていれば、ものを取るなど動きに発展しやすいということです。
30分に1度は座った状態から立ち上がって、水を飲みに行く、トイレに行くなど少しでも良いので、動く頻度を多くして、立つ習慣を身につけることが大事だといいます。
まずは立つことがアクティブな生活の入り口だと思って、立つ意識を持ってみてはいかがでしょうか。
(2023年11月28日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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