駆け込み需要増”ふるさと納税” 10月からルール厳格化で負担額は? 返礼品は?
地方自治体を応援するふるさと納税。しかし、魅力的な返礼品がある自治体に寄付が集中し、地域間の格差ができてしまっています。こういった問題を解決するため、総務省は、2023年の10月からルールを変更します。一体どのように変わるのか?林田美学アナウンサーが取材しました。
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ルール変更によって寄付額が上がり、返礼品の種類も減少する可能性のある、ふるさと納税。利用者たちは…。
男性の利用者
「とりあえず9月中にできる限りお願いしちゃおうかな」
女性の利用者
「純粋に、ちょっと使いづらくはなるのかな」
林田美学アナウンサー
「それでもこれまで通り続ける?」
女性の利用者
「続けたいです。作り手さんの情報を見て支援したいなと」
今回の変更点の一つは、経費のルールの厳格化です。どういった内容なのか専門家に聞きました。
ふるさと納税ガイド・飛田啓介編集長
「経費ルールは、これまで寄付金額の5割以内に経費を納めてくださいというルールはあった。何が5割以内に含まれる内容なのか明確な定義がなかった」
総務省は、寄付額の3割以下を返礼品とし、事務手数料や送料など経費の総額も合わせて寄付額の5割以下と定めていました。
しかし、ここに仲介サイトへの手数料など、”隠れ経費”があったのです。そのために、自治体によっては、受け取れる寄付金が少ないケースがありました。
こうした問題を解消するために、10月以降は、隠れ経費も含めて、5割以下になるように変更することに。
たとえば福岡県飯塚市では、寄付額1万円だったハンバーグを、10月から1万5000円に。
林田美学アナウンサー
「私たち消費者の負担は、やはり増えてしまうんですかね」
ふるさと納税ガイド・飛田啓介編集長
「お得度合いが多少減ったからといって、もちろんやらないよりもやった方がお得」
実質負担の2000円は変わりませんが、返礼品の量が減る可能性があるといいます。
続いての変更は地場産品の基準の厳格化です。これまで返礼品は、ほかの地域で作られたものでも、その地域で加工されていれば地場産として認められていました。
しかし、ルール改正で熟成肉と精米に関しては”同じ都道府県内で生産されたものに限定”となります。これにより、返礼品の種類は減ってしまいますが、寄付した自治体以外にお金が流れることを、防ぐことができるのです。
ふるさと納税ガイド・飛田啓介編集長
「ふるさと納税制度本来の趣旨、これは絶対に守っていかなければならない」
一方、ふるさと納税に否定的だったのが東京都。しかし、ルール変更を機に、参加する自治体も出てきました。それが”新宿区”です。
林田美学アナウンサー
「10月から新宿区が、ふるさと納税制度に参加するということ ですが、その理由は」
新宿区総務課長・菊島茂雄さん
「令和4年度で(ふるさと納税の)影響額は34億円。建物がひとつ建つぐらいの財源が流出してしまっ た」
東京都では、ふるさと納税による他の自治体への税金流出が、深刻な問題となっています。しかし新宿区は、今回のルール変更で、ふるさと納税に参加するきっかけになったと言います。
新宿区総務課長・菊島茂雄さん
「区内産業のダメージを、ふるさと納税の返礼品制度を使って何とか活性化させたいという思い」
新宿区の返礼品は、約300以上設定される予定です。一体、どんな返礼品を準備しているのか?教えてもらいました。
一つは、新宿区民約34万7000人のトップ、1日区長体験や、東京のビッグターミナル、JR新宿駅の駅長体験など、人気の体験型の返礼品などを用意しているといいます。
新宿区総務課長・菊島茂雄さん
「新宿区に訪れていただき、新宿区の魅力を一層多くの人に知っていただける そういったチャンスになるかと考えております」
つい、豪華な返礼品などを基準に選んでしまいがちな、ふるさと納税。今回のルール変更をきっかけに、本来の趣旨である地方の活性化に役立つにはどうすればいいのか、考えるきっかけになるかもしれませんね。