目から鱗の新ビジネス...カブトムシがゴミ問題に立ち向かう!! 利用すればするほど廃棄物が減る最先端事業の根本にある“カブトムシへの愛” をTOMUSHI代表に聞く
今回のゲストは、TOMUSHI・代表取締役CEOの石田さん。手がけるビジネスの中心は、なんとカブトムシです。カブトムシがゴミ問題を解決していくという斬新な事業の仕組みに“1分間で社会を知る動画”を掲げる「RICE MEDIA」のトムさんが迫りました。
余すことなくカブトムシを商材利用
石田さん「もともと1番最初はただのカブトムシ好きでした。 カブトムシを育てて売るという単純な仕事だったんです。その後、カブトムシがゴミを食べることを発見しました。
今やっているのが農業から出てくる有機廃棄物をカブトムシに食べてもらうことです。
それを食べて育ったカブトムシを例えばペットとして販売したり、あとは魚の餌の原料などに活用しています。 今注目しているのは、医薬品の原料としても使うことが出来るかもしれないということです。
また、有機廃棄物を食べたカブトムシがペレット状の糞を出します。 その糞を今度は畑の肥料にしていくことで、有機廃棄物というゴミだったものがカブトムシを通して資源に変わっていくということをしています」
トムさん「実際に産業廃棄物はどのくらい発生するものなのですか?」
石田さん「例えばキノコを育てるのに使う菌床という部分があるのですが、これはとうもろこしの芯を砕いて作った“コーンコブ”というものが原料になります。この菌床に菌が回ってキノコが生えます。
育ち終わった後の菌床が産業廃棄物となってしまうのですが、今拠点を置いている福岡県の大木町という町単位の規模でも年間で1万トンちょっと廃棄が出てしまっています」
死んでしまったカブトムシも買い取り!? 農家さんの新たな収入源にもなる仕組み
石田さん「農家さんの所で発生してしまう産業廃棄物は、 会社間で移動させるのが大変です。課題としてあがるのは、費用の課題や産廃処理の免許が必要である点などです。
そこで農家さんが産業廃棄物を自分で処理する分には法規制がないことに注目し、我々が作っているカブトムシプラントをそのまま農家さんに導入してもらいました。
今日出演している現場も農家さんの中に併設されています。私たちと農家さんでカブトムシプラントを作り、農家さんから出てくる廃棄物をカブトムシに食べさせて処理をして、育ったカブトムシを今度は私たちがすべて引き取り、販売をしています。
売り上げの7割を農家さん、残りの3割を私たちが受け取るレベニューシェアモデルで農家さんの所得向上を実現しながら廃棄物も減らし、私たちも新しいマーケットで収益を得るというビジネスモデルです」
トムさん「カブトムシが育成途中で、万が一死んでしまった場合はどうなるのでしょうか?」
石田さん「死んでしまったカブトムシも私たちが買い取らせていただいています。死んでしまったカブトムシでも、標本などに加工し販売することが可能なためです」
医療分野への展開も視野に...ビジネスモデルとして優れるカブトムシの魅力
石田さん「前提として 会う人皆さんに『カブトムシでビジネスするのはいいけど、全然世の中のためになってないじゃないか』とご指摘を沢山頂きました笑。
カブトムシも角があるだけじゃなくすごいところがあるんだぞ!と伝えたいと思い、『カブトムシが世の中に広く役立てたら、さらにカブトムシの魅力が伝わるな』と考えました。
幼虫や生体の成分を研究した結果分かってきているのが、カブトムシの中から抽出される抗がん作用のあるコルジセピンという成分や、オメガ3脂肪という成分がカブトムシには沢山入っているということでした。
これは日本だけでなく、他の国の論文でも分かってきました。
こういった成分を実用化まで生かしていくことが出来れば、カブトムシを通じてゴミが薬品に変わるという循環も作っていけるかもしれないと考えています」
トムさん「将来的にたんぱく質不足で昆虫を食べる時代、いわゆる昆虫食としての側面は現時点でどういう風に考えていますか?」
石田さん「昆虫食として人間が直接食べる時代が来る可能性は、もちろんあるかなとは思います。ただし、まずは魚の餌として魚に食べてもらって、成長した魚を人間が食べるという方向性を考えています。カブトムシを通じた魚とか畜産の餌の研究も行っています。」
カブトムシの糞で作る肥料や飼料には通常のものとは、また違った特徴があると石田さんは教えてくれました。
石田さん「カブトムシやクワガタには、窒素固定菌という菌がいます。働きとして空気中の窒素を利用しやすい固形状態で体内に取り込むことができるんです。
体内に窒素を取り込むため、カブトムシの糞には窒素が残量しやすくなっています。窒素量が多いと畑の肥料として更に効果的なものになります。
これとは別に原料生産向けのカブトムシもやっていて、ちょっと残酷なのですが カブトムシの幼虫を粉末状態にして作っています。幼虫には、腸がなくなるタイミングがあるので、そのタイミングで粉末にするんです。
今は世界中で魚粉の取り合いが起きて、魚粉の単価がどんどん上がっています。粉末になったものはほとんどタンパク質なので、魚の餌として魚粉の代わりができるということがわかってきました」
今後はカブトムシで地域おこしをしたい!!
石田さん「この福岡県大木町に、カブトムシの拠点作りをしています。カブトムシを育てやすい環境だったり、カブトムシのビジネスをやっている人だったり、カブトムシのノウハウを持ってる人たちがこの街に集まれる仕組みを作っていくということです。
この地にも子会社を設立をして、移住をしながら盛り上げていっています。おそらく今年は全員で11〜13名程度が首都圏から移住をしてきます。
地方に人を呼び込んで、なおかつイベントをやることでカブトムシ好きがこの大木町に集まってきます。そうすると、大木町全体がまた賑わい、さらにカブトムシが産業として新しく発展していくかなと。
今度はカブトムシたちがその地元の肥料になっていき、新しく出てきた資源を新しい産業として活用してもらうことで、カブトムシが地方を元気にしていくような取り組みをしています。」
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本記事は、日テレNEWS NNN YouTubeチャンネルメンバーシップ開設記念番組「the SOCIAL season1」の発言をもとに作成されています。