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【難民×可能性】~ユニークな経験や視点を強みに難民が日本企業にイノベーションをもたらすグローバル人材になる~ WELgee理事と語る日本の難民事情とイマ

2024年3月25日 17:29
【難民×可能性】~ユニークな経験や視点を強みに難民が日本企業にイノベーションをもたらすグローバル人材になる~ WELgee理事と語る日本の難民事情とイマ

今回のゲストは、NPO法人WELgee事業総括・理事の山本 菜奈さん。難民問題の現状と課題、WELgeeの活動内容、難民の方々の活躍事例、そして難民と共生する社会の実現に向けて必要な取り組みについて“1分間で社会を知る動画”を掲げる「RICE MEDIA」のトムさんがその魅力に迫ります。

「バーグラフで並んでいると日本はほとんど見えない状態」日本の難民問題の現状と課題

日本の難民認定率は2022年のデータでは2%を記録。難民に厳しいと言われるイタリアでも認定率は、13.9%という数値になっています。どうして日本の難民認定率は、国際水準と比較しても低い状態なのでしょうか。WELgeeの山本さんにその理由を伺いました。

山本さん「2つ大きな理由があると思っています。1つは、日本って難民認定の基準がすごく厳しいんですね。 難民認定を行うもとになる難民条約っていうものが1950年代にできたものなので、今の情勢にあっていない古いものになっているというのは各国でもやはり議論がなされています。

当時はLGBTQで迫害を受ける人たちのケースは想定されていなかったし、最近出てきている気候変動による避難民というのも想定されていませんでした。 でも今は時代や情勢が変わる中で、生まれる難民というのを各国が新しい基準に則って、難民保護のあり方を見直していくために、新しい事例を積み重ねていこうという前進があります。

しかし、日本の場合は未だに1950年代の難民条約に即した、すごく厳しい難民認定の審査を行っています。難民であるということを立証するために、ドキュメントを用意する必要があり難しいです。そういうところで、手続き上アウトになってしまう人たちが多いです。

2つ目は、“難民認定率の低さの根っこには何があるのか?”と考えた時に、難民問題自体が国民の関心に引っかかってないというのが1番大きいです。

WELgeeでは前向きな響きだったり、日本に難民の人たちがすでにいて彼らが日本社会と共生したりすることでこんなにいいインパクトがあるんだよっていうことを、企業を通じて事例を作りながら、発信を行うことで世論に反映していきたいと考えています。

国民の意識を変えることで政策が変わり、そうすると手続きが変わって、もしかしたら難民の認定率っていうのも変わってくるかもしれないと考えて、根っこにアプローチするやり方をとっています」

トムさん「多くの方々からすると日常の中で、実際に難民の方々に会う経験や機会がある方ってそこまで多くないかなと思っています。難民ってそもそもなんだろうかとか、日本にそもそもどれぐらい来てるのとか、まだちょっと分からないところを教えて下さい。

そもそも難民って言葉が『難しいものが日本社会に入ってくる』みたいな感じがしてしまう言葉だなと感じていて、どうしてもニュース映像とかのイメージが先行してしまいます。実際に難民の方と関わりを持つ場というのは多くないと思うのですが、どうなのでしょうか?」

出会いは非常に重要…...まずは機会を作りそこから採用を検討して貰えるように

山本さん「出会う場や機会があまりないというのはその通りです。難民の人たちは、(目に見える形で)難民っていう看板を背負いながら生きてるわけではないためです。普通に生活する中では、やっぱりわからないんです。

なので、難民の背景がある人たちを職場のビジネスパーソンや地域の人として、まずは「○○さん」として出会う場を作り、彼らと繋がるというところから始めています。

特に採用では、なるべく会ってもらうというステップ を挟んでいます。一緒にランチに行ったりとか、 会社を訪問したりすると、“難民”とか“アフガニスタンの人”みたいなすごく遠い存在が一気に目の前にいる人に変わります。

履歴書だけではアフガニスタンで10年間外交官をやってきた人と書かれていても、コミュニケーション力などをあまりイメージできないと思っています。そこでなるべくあってもらうというステップを踏み、話して頂く機会を作ると、例えば彼が漫画のスラムダンクが好きだと言っていることに親しみを覚えてもらったり、面白そうだなと思ってもらったりします。そうすると、心の距離が一気に縮まります。

そこから、お試し雇用の期間を3ヶ月〜6ヶ月間設けることで、会社の経営者さんだけじゃなくて、現場の人たちも『最初は難民人材ですか......?』みたいなところから『なるほど、この人はこういう考えを持っていて、こんなパッションを持って、この会社とかこの仕事に向き合ってくれるのか』と徐々に時間をかけて、この人を採用してみるかという話に至っていくように私たちが伴走しています。

お互いのニーズとか価値創造の可能性っていうのが繋がれば、こんなに面白いインパクトがビジネス的にも社会的にも、個人の変容っていう意味でも生まれていくんだという事例作りを意識してやっています」

仕事が得られたから終わりではない「そこから始まる人生再建」

トムさん「実際今難民の方々がいろんなところに就職されて活躍されていると思うんですけど、 その方々はどうでしょうか。今幸せそうですか?」

山本さん「私たちが1番目指している難民の人たちの人生再建とか、日本社会で生きていくこととか、日本の社会とか企業と共創していくというところの出発点が、 仕事が得られたってことだと考えています。

今生まれてきてる事例ですごくいいなと思っているのがいくつかあるんですけど、そのうちの1つが『5年離れ離れだった最愛の奥さんを日本に呼び寄せられた』という難民の方がいて、そうなると本当に人生が変わるなと感じました。

難民申請中だった人たちは多くの場合、単身でまず日本に来ています。実はパートナーとか、お子さんを母国に残している人たちが多いです。 なので、奥さんともう5年会っていないとか、来る前はお腹の中にいた子供がもう5歳になるけど、1度も抱っこしたことがないという人たちが、ずっと日本で難民申請中のステータスになってしまっています。

いつ家族と再会できるのか、見通しが立たない状況を見た人たちが、WELgee経由でマッチングした企業さんとご縁があったとします。そうすると、企業さんがビザのスポンサーになってくれます。難民申請中っていう不安定なステータスだった人が、“働く外国人”っていうビザステータスに変わる時に、家族の呼び寄せが合法的にできるようになるため先ほどの事例も実現しました。こういった家族統合の事例が今、実は何件か生まれてきているというのが1つです。

もう1つが自分が仕事を得られて終わらないのが、難民の人たちのすごいところだなって思っています。自分で職場の同僚の人とNPOを立ち上げて、アフリカの医療現場と日本のヘルスイノベーションの最前線を繋ぐ活動を、本業の傍らで始めたアフリカ出身の人がいたり、日本のビジネスとシリアのエンジニアたちをオフショア開発で繋げて雇用創出をすることを目指して、日本のビジネスパートナーと 起業したシリアの人がいたりします。

やはり皆さん母国で本当はやりたかったことや、描いていたビジョンを諦められないんだなという姿勢にすごく勇気づけられます。

日本で繋がったネットワークや、培ったノウハウを仕事の中だけに収めておかないで、社会とか世界をいかに良くするかというところに、自然と頭が働いちゃうし足が動いちゃうんだなというところがまさに共創関係だと思います。

日本と難民の人たちが、たまたま出会ったからこそ世界に生まれた新しい価値は、私たちがまさに『welcome refugees』を通じて描きたかった景色なのかなと感じています。その一部が7年越しとかに、徐々にですが事例として生まれ始めてきていることにすごくワクワクしています」

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本記事は、日テレNEWS NNN YouTubeチャンネルメンバーシップ開設記念番組「the SOCIAL season1」の発言をもとに作成されています。

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