旅費削減&地域交流に期待、お手伝い×旅の化学反応で“第二の故郷”ができる.......地域が抱える困りごとを旅人が解決するサービス『おてつたび』の魅力
困りごとを通じて地域のファン作りを行う
お手伝いをしながら、知らない地域を旅することができる取り組み「おてつたび」。サービスの利用者は、旅先で地域の魅力を感じながら、受け入れ先の地域住民の困りごとをお手伝いして、報酬(お金)を得ることができるというサービスです。
“1分間で社会を知る動画メディア”を掲げる「RICEメディア」のトムさんが、その魅力に迫りました。
砂丘でパラグライダー体験のお手伝い!? 代表が語る興味深い、お手伝いの数々
「おてつたび」の中で、いまホームページに掲載されているものも含め、おてつたびの代表取締役CEO・永岡里菜さんに「特に面白かったな」と思ったものを教えてもらいました。
永岡さん「最近で言うと、これ私も行きたいなと思ったのは、島根県の浜田市っていうエリアが あるんですけれども、そこの竹林の整備ですね。竹林の伐採など手入れをする方がいないという現状を変えられないかと思われた地域の方がいて、一緒に伐採や運搬を手伝ってくださいという内容でした。あとは、よくお手伝いの募集を出していただけるのが、鳥取砂丘のパラグライダースクールの受け入れ先の方々ですね」
トムさん「パラグライダースクールと聞くと非常に楽しそうですね」
永岡さん「お手伝い(の内容)自体は、砂丘の暑い中で少し重たいパラグライダーを運ぶといった作業もあってハードな部分はありますが、もしタイミングがあえば休憩時間におてつたび参加者も飛ぶことができるという噂を聞きました笑」
パラグライダーが“必ず体験できる”というわけではなく、“条件などがうまくあえば”ということだそう。おてつたびの特徴は、このように受け入れ先の方々が参加者の「旅したい、地域の魅力を感じたい」という気持ちに寄り添ってくれていることが大きいのだと永岡さんは語ります。
永岡さん「お手伝い先によっては車使っていいよっていう所や、あとE-BIKE(自転車)であったりとか、 “いろいろ遊びに行っておいで”っていうような内容が付いている場合もあったりします。そういう意味で、やっぱりちゃんと旅をして地域も知って帰ってほしい!って受け入れ先の方が多いかなと思います」
聴きづらい話も教えてください‼「貰えるお金のこと」「不安なこと」「お手伝い参加後の影響」など
旅をしながら、お手伝いをするというコンセプトに沿っていろいろ教えてもらいました。次は、参加者が得られる報酬などの金銭的なメリットについても教えてもらいます。
永岡さん「地域や期間にもよりますが、おてつたびは1週間〜10日間ぐらいの期間が多いです。その期間での報酬はおよそ5万円ぐらい受け取れる形になっています。場所や受け入れ先のアルバイト代の設定によって変わってはきます」
そのうえで永岡さんは、お手伝いで得られる直接的な報酬以外にも、旅費の節減につながるメリットがあるといいます。
永岡さん「宿泊先は、寮であったり、ホームステイであったり、基本的には受け入れ先の方が用意していただけます。宿泊費は旅費の中では大きな負担となりがちですが、住み込み形式でお手伝いができるところを、ご用意いただいている形になってます」
地域の方々との交流が深まりやすい一方で、住み込み形式の働き方となると「地域には行きたいんだけど、ちょっとコミュニケーションがそんなに得意じゃないかも」と不安を感じる方もいるのでは、と永岡さんに質問してみました。すると......
永岡さん「おてつたびのプラットフォームでは、1人での作業が多いのか、 おてつたび先の方と交流が多いのか、1人で過ごせる時間が多いのか…といった情報を見えるようにしています。いきなり見知らぬ方と、四六時中一緒にいるっていうのはちょっと負担だなと思われる方は、そういった項目を見ていただけるといいかなと思います」
おてつたびがきっかけで結婚も!人とのつながりを大切にするからこその特徴
人と人とのつながりを大切にするおてつたびがあることで生まれた象徴的なお話だったり、エピソードについても永岡さんに聞きました。
永岡さん「ライトな事象だと和歌山県・由良町に“柑橘の収穫”でおてつたびした方が、東京ではカフェで働かれている方で、由良町の柑橘を非常に気に入って『自分たちのカフェでも使いたい!』と店長さんに直談判しておてつたびで出会った柑橘を使ったタルトがお店で販売されることになったこととか」
「もう少しディープな事象だと、山形県・西川町というエリアでは、おてつたびを通じて3名の方が移住されたというようなお話を聞きました。最近は徳島県・鳴門エリアでおてつたびに参加された50代の方が早期退職されてそのまま移住されてたり、本当に嬉しかったのはおてつたび先の方とご結婚された方がいたりと、私たちは人と人との出会いのきっかけ を提供してるにしか過ぎないんですけれども、その後いろんな化学反応が生まれてるのが、すごい嬉しいなと思ってます」
永岡さんがおてつたびを始めた原体験として、自身の出生地である三重県・尾鷲市の話を教えてくれました。自分の故郷みたいな地域が次世代に少しでも残るような未来を作るためには何が必要なのかっていうところから始まったサービスが“おてつたび”だったといいます。
永岡さん「私たちが目指したいのは、『どこそこ?』って言われちゃう地域に行くのも面白いよねっていうようなカルチャーを作りつつ、その際に当たり前の選択肢の1つに“おてつたび”がなって欲しいな、と思っています。
例えばカフェとかで隣の方が『この夏旅行に行く? おてつたびに行く?』っていうぐらいのイメージです笑。日常の会話の中で展開されるような形を、将来的には目指していきたいなと思っています。
ただそれだけだと、尾鷲のような地域を存続できない部分もあると思っています。そういう意味で、もうひとつ別に目指したいことがあります。
それは、誰しもが居住地と出身地以外に、好きで好きでたまらない地域を2~3個持てるような世界を作ること。その地域には住んでないけれども、時々労働力として関わることで地域に貢献していただいたり、一度関わった後に地域のものを買い続けてくれたりして、経済を回してくれる人たちを増やしていく。1人が何役にもなっていきながら、地域間で支え合っていく。そんな未来ができないかなっていう大きな野望を掲げながら、頑張っていきたいなと思っています」
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本記事は、日テレNEWS NNN YouTubeチャンネルメンバーシップ開設記念番組「the SOCIAL season1」の発言をもとに作成されています。