建設土木・農業・防災…ロボティクスであらゆる現場を変えていく!「株式会社CuboRex」の活動をインタビュー
今回のゲストは、CuboRex代表取締役の嘉数正人さん。不整地の課題をテクノロジーの力で解決に取り組む活動に“1分間で社会を知る動画”を掲げる「RICE MEDIA」のトムさんが迫りました。
嘉数さん「私たちは不整地を走るロボットであったり、運搬車に関連する技術を得意としています。
電動の一輪車やキャタピラがついたロボットなどを開発・製造・販売しています。
キャタピラは大学や企業などのプロジェクトで使われたり、手押しの一輪車の方は農業や建設の方で多数使われております。
制作しているキャタピラは大型のものだと軽トラ一杯分の最大350kgまで載せることが出来ます。一輪車の方は100kgまでの運搬が可能となっています。
こういった製品を電力会社の災害復旧で用いた際の私たちが調べたレポートがあるのですが、効率が約5倍ほどよくなりました。
私たちはウィズロボットなプロダクトを結構たくさん出しているので、人の力をエンパワーメントできる、拡張するようなプロダクト群を取り揃えています。
1輪車の電動化キットE-cat kit2という製品は大体小売価格で15万円〜16万円ぐらいです。
キャタピラの方が小さい物で大体40万円ほど、大きい350kgまで運べる方が198万円になります。
他にも開発していますが、今一番一般で市販されているのはこの2つで、3500台ほど売れています。
私たちの製品は改造して使って頂けるというカスタマイズ性も特徴となっていて、見回りロボットのような使われ方や別の団体で開発された人型ロボットの足として採用されたりしています」
嘉数さん「一番最初は大学で趣味として一輪車の作製を始めました。開発年月でいうと2005年から着手して発売まで6年ほどかかりました。
一輪車で製品化を始めた理由としては、一輪車がたぶん世の中で一番存在している台車だと思ったためです。
都心だと工事現場ぐらいでしか見ないですけども、少し田舎郊外に行くとほぼ一家に2台みたいな形で備えつけられてるものだという感覚です。
私たちの推計ではたぶん国内で現存してるのが、600万台以上だと思っています。
こういう既にある資産を生かし電動にすることができれば、非常に可能性を秘めていて、いろいろな役に立つんじゃないかというのが最初の発想です。
私自身が『モーターとバッテリーのパワーがすごいよね』というところに最初魅了されました。
これを生かして世の中どんどん良くなっていくんだろうなと考えた時に、自然と記憶の中にあった一輪車が結びつきました」
トムさん「実際に一輪車を使っている方へのヒアリングも行われたのでしょうか?」
嘉数さん「結構現場の人の意見って重要ではあるんですが、実は参考にならないことも多いです。
むしろ自分がその現場に行って作業させてもらったり、学生時代に携わっていた獣害対策に取り組む団体で鹿を一輪車で運んでみたり、自分自身がなるべくユーザーになるように考えながら開発をしてました。
自分たちの事業の強みはロボット開発の事情から気づきました。
ロボット開発はソフトからハードまで非常に幅広く、それぞれの専門分野が遠いので全てを開発するのが大変なんです。
そういったことを考えたときに、走行装置部分の開発は苦手なところが多い中、私たちは得意だったので強みに繋がるのではとないかと思いました。
タイヤの走行装置を作るメーカーは他にたくさんあったんで、 差別化という意味でキャタピラ型の走行装置を作りました。
世の中のいろんな開発者だったり、そういう困ってる現場に投入すれば役に立つというところの仮説から開発が始まりました」
実現したい理想は「エネルギージャブジャブ社会」
嘉数さん「いつも言っているのですが、私はエネルギージャブジャブ社会がいいと考えています。
技術観点で言うと、例えばエネルギーが0円だったら、ほぼほぼの物質って生み出せるんですよね。
そうすれば、まあまあ社会課題とか平和課題とか、あらゆる物事の結構大きな部分を解決することが出来ると思っています。
あとはエネルギーがジャブジャブであれば、個別の技術でなんとかなると思っています。
なので、おしなべて私が目指しているのは、エネルギージャブジャブな社会です(笑)。
それが現段階の技術で無理だとすると、よく言われる省エネとか、 あとは少ないエネルギーで大きな力を生み出すとか、そういった考え方に近いと思っています。
こういった技術で使うエネルギーが少なくなることは、ある種エネルギージャブジャブな社会に近づけている技術だと思うからです。
そのため、私たちは人体拡張に近いような、 人間に親和性の高い小型のモーター、小型のバッテリーみたいなところで人間をエンパワーメントしていくみたいなところを短期的には狙っていくのかなと思います」