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【認知症予防】運動や昔の遊びで脳を活性化…「できない」と混乱するのも脳への刺激に

2022年12月6日 17:33
【認知症予防】運動や昔の遊びで脳を活性化…「できない」と混乱するのも脳への刺激に

アルツハイマー病の世界的権威である医師、新井平伊(あらい・へいい)さんが、去年始めたのは認知症予防を目的とした「健脳カフェ」という施設。物忘れが気になり始め、認知症を予防したいという人や軽度認知障害の人たちの交流の場として作られた。

新井医師は「認知症になる前、不安が出始めた人の支援がないこと」に着目。予防するにもとても大事な時期に、認知症のケアができたら…と「健脳カフェ」をつくった。健脳カフェで行っているのは、脳が衰えるのを防ぐ、運動やゲーム。全身を動かすだけでも、脳に刺激を与えることができるという。手の体操では、左手と右手で違うグー・チョキ・パーの動きに挑戦。うまく出来なくても「できない」と混乱することがよい刺激になるそう。 

2年半前、48歳の時に若年性アルツハイマー病と診断された女性。ある日、一緒に暮らす姉が異変に気づく。「自転車を貸したらどこに乗っていってどこに置いてきたか全然覚えてない。記憶が切り取ったようにまるまる無くなっていた」

やがて携帯を無くす、会社までの道がわからなくなるなど日常生活に支障が出てきたという。女性は現在、認知機能の改善を目指し、週に一度カフェを訪れ、健常者と一緒に体操やゲームなどを行っている。

新井医師が運動以外に重視しているのが子ども時代によくやっていた遊び。「回想法」という、昔の記憶を思い出すことで、脳の機能回復を目指すものだ。

また、医師は「料理に何を入れるか、カレーには何を入れる? 野菜を入れるなら何を?」などと問いかける。病気の進行によって、自分の考えがまとまりにくい時期の女性にとって、家族以外の人と話すことが大切だという。もし、野菜の名前が出てこなくても、考えること自体が、脳への刺激になるそう。

新井医師のもとには、認知機能が回復したという60歳の男性も。48歳の時「若年性アルツハイマー病の疑い」と診断された男性は「自分の家族のことも忘れてしまうとか、その時はショックが大きかった」と話す。当時、働き盛りの40代で1日4、5時間ほどの睡眠時間はとっていた、というものの、睡眠時無呼吸症候群だったことが判明。十分な睡眠とは言えなかった。男性は薬での治療に加え、睡眠の質を改善することで、認知機能が回復したという。

認知症予防のためには、バランスの良い食生活も大事だという、新井医師。健脳カフェでは、栄養に関する最新研究も紹介している。食事による腸内環境と認知機能には、密接な関係があると見られていて、さまざまな研究が進んでいる。「腸を整える、それが結果的に認知機能の維持にも繋がる」とのことで、世界中で注目されている。

ただ、認知症は早期発見が大事で、普段の家事や仕事で「何だかおかしい」という違和感が、その前兆となるため、
ちょっとしたことでも見過ごさないで欲しいという。


※詳しくは動画をご覧ください。(2022年12月6日放送「news every.」より)