【解説】厳しい寒さ…近くなるトイレ 医師が勧める「尿トレ」
寒さが厳しくなってきて、さまざまな体調の変化が訪れる時期です。「トイレに行く回数が増えた」と感じる人も多いのではないでしょうか。週末の天気は、さらに冷え込む予想です。「寒さ対策」に加え、「頻尿対策」も気にしてみてください。
●冬場のトイレ回数 6割増
●夏より多いワケ
●「尿トレ」で対策
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
■「夜中に何度も目覚める」悩みも…
クラシエ薬品は、20代~70代の男女200人を対象にアンケートを行ったところ、6割以上の人が「寒くなる季節に、トイレに行く回数が増えた」と答えました。男女別では、女性は72%が「増えた」と感じ、男性(56%)よりも16%多い結果となりました。
この時期、「寒さでトイレが増えました」と答えた人に、具体的な悩みを聞きました。(クラシエ薬品調べ)
●夜中に何度も目覚める
●外出中に突如、尿意
●仕事に集中できず
●映画館に行けない
●途中下車なしに電車乗れず
最も多かったのは「夜中に何度も目覚める」でした。尿の問題は相当、影響をもたらすことは間違いないです。
■寒さでトイレの回数が増加…3つの理由
この時期、寒さによって、どうしてトイレの回数が増えるのでしょうか。日本泌尿器学会の専門医で、女性医療クリニック・LUNAグループ理事長の関口由紀医師によると、理由は「3つ」あるということです。
1.汗をかかない
寒いと汗をかかないことで、夏より尿の量が増えます。当然のことながら、余分な水分は尿や汗で出しますが、寒い時は汗をかきにくいので、その分、尿が増えるということです。今、夏と変わらないぐらい水分をとっている人は、体では水分が余っている場合もあるということです。「冬に水分をとり過ぎ」という人もいるかもしれません。
2.膀胱(ぼうこう)の筋肉収縮
寒さによって、膀胱の筋肉が収縮してしまって、ためることができる尿の量が減ってしまうということです。
3.気温差で自律神経の乱れ
気温差で寒い所に入ると、自律神経が乱れます。膀胱に尿がたまると、脳に対して「たまりましたよ」と信号が送られて、「排尿しましょう」と指令が出ますが、自律神経が乱れると、一連の回路もやはり乱れてしまうということです。
このような理由から、寒い時期はトイレの回数が増えるということです。
そもそも「頻尿」とは、どれくらいの回数なのでしょうか。関口先生によると、朝起きてから夜寝るまでに9回以上排尿がある人は「昼間排尿(ちゅうかんはいにょう)」、「夜間頻尿」は1回以上トイレに起きる人のことで、頻尿が原因で不眠を伴う場合のことをいいます。
そして日本排尿機能学会の調査によると、40歳以上の男女のうち、69.2%が夜に1回以上トイレに起きる「夜間頻尿」ということがわかっています。不眠に伴うかが、かなり重要です。さらに夜に3回以上トイレに起きる人も、13.5%に上りました。
では、対策として何ができるのか。
〈1.体を冷やさない〉
関口先生は頻尿対策として、「まず体を冷やさない事」を上げています。特に首・手首・足首・腰まわり、体の節は冷やさないようにすることが大切としています。
〈2.冷たい物控えめに〉
そして、体の中から冷やすのも好ましくありません。冷たい物は控えめにして、「炭酸飲料」のほか、「カフェイン」「アルコール」は利尿作用があるため、とり過ぎに注意が必要ということです。
〈3.肥満に注意〉
意外なところでは、肥満にも注意が必要です。脂肪が増えすぎると、膀胱が圧迫されてしまい、その分、尿がためられなくなるということがあるといいます。
〈4.骨盤底筋トレーニング〉
関口医師は、膀胱を支える「骨盤底筋」のトレーニングが最も重要だとしています。「骨盤底筋」は自転車にまたがった時に、サドルが当たるお尻の部分です。
■医師が勧める「骨盤底筋トレーニング」
では「骨盤底筋」を鍛えるには、どうしたらいいのでしょうか。まずは両足を肩幅ぐらいに開いて、リラックスして立ちます。立って行うのが基本ですが、椅子に姿勢良く座って行ってもいいそうですので、試してみてください。
手順1:肛門をキュッと締める
これは“おならを止める”ようなイメージです。
手順2:尿道を締める
これは“尿を途中で止める”ようなイメージです。これを3秒間キープした後、ゆっくり緩めていきます。
手順3:骨盤底筋を持ち上げる
いったん鼻から息を吸って、吐きながら骨盤底筋を持ち上げます。その後、ゆっくり緩めます。
この手順の流れ5~6回を1セットとして、1日3~5セット繰り返すのがおすすめだといいます。
トレーニングはなかなか難しいかもしれませんが、日々意識していただきたい3つのポイントがあります。
■早寝早起きや散歩…日々生活のポイント
早寝早起き、規則正しい生活をすること
●午前中に散歩
下半身の筋力を鍛えることにつながり、血流も良くなるため、腕を振って、大股で歩くことが大事だそうです。
●日光を浴びる
散歩することで、当然、日光もしっかり浴びられるので、自律神経も整えられるということです。
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頻尿は、一般的には出産によって骨盤底筋が緩んだりするため、女性は50代から、男性は遅れて70歳ぐらいから症状が出るそうです。関口医師は、60歳ぐらいからは症状がなくても、夫婦でトレーニングすることなども勧めています。
(2023年1月17日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)