【大雨から1年】「離れるのは寂しい」集団移転の検討も 大雨で地域に変化 河川改修工事と地域の現状
去年7月の記録的な大雨から1年。
2年続けて浸水被害にあった三種町では、水害対策として河川改修工事が進められています。
住民にとっては安心材料となる一方、その工事に伴い、移転を余儀なくされる人もいます。
地域の形が少しずつ変わろうとしている三種町の集落を取材しました。
去年の大雨では、おととしのおよそ2倍、38棟の住宅が浸水被害に遭った、三種町。
最も被害が大きかった下岩川長面地区では、ほかの地域に先駆けて、川の幅を広げる工事が始まりました。
10月までに、地区から下流域の整備が終わる予定で、その後、上流域の工事も完了すると、去年と同じ規模の大雨でも氾濫を防げると県では見込んでいます。
しかし、影響を受ける人もいます。
上流域の工事範囲にある赤川商店は、立ち退きを余儀なくされました。
赤川商店 赤川秀悦さん
「この地域が良くなるものだとすれば、仕方ないのかなと心には思っていますね」
雑貨や日用品など幅広い商品を取りそろえ、70年以上にわたって地域住民の生活を支えてきた、赤川商店。
店主の赤川秀悦さんは、地域の別の場所に移転することを決めています。
記者
「店を辞めようとは思わなかったんですか」
赤川さん
「それもまた選択肢のひとつなんだけれども、何しろうちの親父の代からみんなここの皆さんに世話になってきたものですからね。やっぱりそれだけここの地域が好きだっていうかな」
親交が深く、地域住民が支え合ってきたという下岩川地区。
これからもここで暮らし続けたいと思う一方、度重なる水害に限界を感じる住民も少なくありません。
住民
「いまここの時点では、もうこれ以上住めなくなってきています。だからもう一日でも早く寄せてもらいたいっていうのが本心ですね」
川沿いの住民たちは、今年、地域のコミュニティを維持したまま、別の場所に移り住む集団移転を町に陳情しました。
移転候補地のひとつにあがっているのが、同じ地区の川から200メートルほど離れた区域です。
町は、住民の要望を受け、移転を進めたいと話していて、ほかにも希望する住民がいないか確認していく方針です。
住民
「ほかの地域に比べて、人情味があふれるというか、一致団結しているような感じがします。運動会にしろ盆踊りにしろ」
「みんな仲良くしてさ、いっているのにね。やっぱり離れるのは寂しいと思います。だからみんなで行けるようなあれがあればいいなぁって思っているんですけど」
形は変わっても、この地で暮らし続けることを、住民たちは望んでいます。
(進藤拓実記者)
三種町の下岩川地区の住民たちは、水害の度に後片付けに追われ、床などの工事も大きな負担になっていると話していました。
こうした住宅の修理などに使える支援金は、いまも自治体に申請することができます。
去年7月の大雨で被害のあった15の市町村が対象の応急修理制度は、り災証明書に記載された被害の程度に応じて、最大70万円あまりが自治体から直接工事業者に支払われるものです。
修理前と修理後、また、修理中の写真が必要ですので、ご注意ください。
また、秋田市と能代市、それと五城目町が対象の生活再建支援金は、住宅の解体工事の際に最大100万円の支援が受けられます。
また、新たに住宅を建て直す、あるいは、住居の購入・賃貸をするといった場合にも、被害の程度によりますが、最大で200万円の支援が受けられます。
いまだ工事に取り掛かれていない方や、この先住居をどうするか悩んでいる方は、ぜひ一度、お住まいの自治体に相談してみてください。