CO2の削減やコスト削減も! 廃棄物などを再生の道へと導く“資源循環コンサルティング”
地球温暖化の原因の一つであるCO2や企業のコスト削減まで、廃棄物の有効な再利用をアドバイスしてくれる、資源循環コンサルティングという取り組みをご存じですか?廃棄物の分析や分別方法を始め、処分に関する勉強会など、様々なサポートを行う仕事です。今回は、コンサルティング業務を実際にしている現場を取材しました。
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資源循環のコンサルティングを受けたのは、サステナブルなスタジオを目指しているという、神奈川県横浜市にある撮影スタジオ。
電通クリエーティブキューブ・藤森 暁生さん
「広告制作を我々はやっているので企業さんのニーズも非常に高いんですよね。そういうところで一つの優位ポイントにしていきたいと思っているので」
この日は、コンサルティングの一環という、廃棄物についての勉強会が行われました。スタジオの利用者に、取り組みの理由や方法を伝えるためにも、まずは、スタッフがしっかりと学びます。
モノファクトリー・三上 勇介 常務取締役
「産業廃棄物に関しては全部企業の責任です。無害化もしくはリサイクルしなくてはいけないというのがスタートになっている」
多いときには、1日100人分にも上る弁当の容器が捨てられるという、こちらのスタジオ。横浜市の場合、プラスチック製の容器は洗ったあと産業廃棄物として、紙製は一般廃棄物として、それぞれ処理をしなくてはいけません。
モノファクトリー・三上 勇介 常務取締役
「専門知識がある程度ないと分別ルールを定められない。そこを我々の知見を生かしていただくことによって、分別基準を決められるというところがある」
こちらのスタジオでは、まずリサイクル率のアップを目指して、廃棄物の分別を細分化をすることにしました。プラスチック製品は、食品が入っていたものと、入っていないものに分別。
不燃ごみとしてまとまっていたものも、金属くず、ガラス陶磁器くずに分けるなど、全部で12項目あった分別を18項目に増やしました。こうして細かく分別することにより、同じ素材の資源として再生しやすくなるといいます。
モノファクトリー・三上 勇介 常務取締役
「ちゃんとリサイクルできるような分別をすれば、その分再生素材にまわる素材として流通できることになるので、コスト削減にも自動的に結びつくんですね」
勉強会に分別のルールづくりなど、様々なサポートをおこなう“資源循環コンサルティング”。その礎を築いたのは、1937年に創業して以来、産業廃棄物の処理に携わってきた会社の知見にありました。
ナカダイ リソーシング事業部・後藤 進 執行役員
「(分別された)質のいい廃棄物から質のいい素材を生み出して世の中で使ってもらうというビジネスモデルを作ることによって、そのノウハウが生きるであろう相談をいろんなお客様からいただくように」
強みは素材への知識と分別の技術。現在、毎日工場に運ばれてくる約60トンの廃棄物のうち、99%をリサイクルしているといいます。
どのように作業しているのか、実際に見せてもらいました。
ナカダイ リソーシング事業部・後藤 進 執行役員
「日々やっている業務用のエアコンの室外機を例にとって解体の現場を見ていただこうと 思います」
解体は、一つ一つ手作業で。あっという間に、金属類やプラスチックなど、約10種類に分類されました。
ナカダイ リソーシング事業部・後藤 進 執行役員
「こちらは中に油が入っていたりモーターが入っていたりするので、そのモーターを再生に回すとか、外側のスチールはスチール鉄の再生に回していき、細かく素材のリサイクルに極力なるようにルートに乗せていく」
素材として再利用できないものは、固形燃料として使用するなど、解体した部品は、ほとんどリサイクルするといいます。
本来、処分されるはずが、資源として生まれ変わる資源循環。廃棄物の新たな使い道を見いだす挑戦は、これからも続きます。