部活動の指導者不足の解決策となるか 指導者はガス会社のお兄さん! 愛知・尾張旭市で実証実験

教員の働き方改革もあり、各地で部活動の指導者不足が深刻に。危機に立ち上がったのは、企業でした。
愛知県尾張旭市にある尾張旭市立西中学校で、行われていたのは女子バレーボール部の部活動。3年生が引退し、2年生と1年生だけのまさにこれからといった発展途上のチームです。
この日、部活動を指導していたのは外部からきた、こちらの男性。
外部指導員 五藤和希さん:
「普段接しない年齢の子たちなので、 どうやって関係性を構築しようかなと思い、バレーボールの話だけでなく、プライベートのこととかで“アイスブレイク”」
一方、部員たちは…。
Q.五藤さん、どんな印象
「まつ毛長いなってどういう人なのかなって探り入れてる」
相手は、多感な女子中学生。外部指導員だからと、すぐに受け入れられるとは限りません。
実は、五藤さん、バレーボールの専門的な指導者ではありません。
五藤さんは東邦ガスの社員なんです。
今年1月尾張旭市は、東邦ガスと部活動移行に関する実証実験を行うと発表。自主的に希望した東邦ガスの社員5人が、中学校の3つの部活動で、休日指導を行っているのです。
東邦ガス事業開発部 臼井健二 課長:
「弊社には野球部やソフトテニス部など公式の部活動があり、そういった人材が豊富にいるというところから着想を得た。まずは東邦ガス社員がとなっていますけども、地域の企業や団体に声がけして、 全体で部活動の持続可能性を高めたい」
五藤さんも中学から大学までバレーボールを続けてきた経験をいかし、参加することに。
外部指導員 五藤和希さん:
「自分も中学・高校の部活動で得た仲間とか経験は大きいので、それが今の子たちが経験できないとなると、さすがにかわいそうだなと思って」
五藤さんが本格的に指導に加わると部活動の雰囲気は一変。
かなり厳しいコースにボールを落とし、取れないと、間髪入れず、すぐまた厳しいコースに。徹底して、部員たちを動かします。
記者:「コース厳しいね」
部員:「でもどんどんやっていくと、自分が成長したような感じがする」
部員:「みんなが声を出すようになったし、滑り込んだり一生懸命やってると感じる」
この状況を特に喜んでいるのは、部活動の顧問を務めている中学校の教師。
バレーボールは、まったくの素人で日々の業務の忙しさも重なり悩みを抱えていたといいます。
市立西中 バレーボール部 奥村祐大 顧問:
「今ぼくは家庭もない独り身なので、土日の融通もきくんですけど、これで家庭があったらと考えると…こうやって外部でやっていただけた方が専門的なことも教えてもらえ、いいのかなと」
今回の実証実験では、尾張旭市から指導員に時給2000円が支払われ、指導員は副業として収入を得ます。ここにもコダワリが。
東邦ガス事業開発部 臼井健二 課長:
「ボランティア(無償)では持続可能という部分で問題になってくる。ビジネスとしてつくり上げ、部活動を持続可能なものに目指していきたい」
部活動の指導で副収入を得た五藤さんも。
外部指導員 五藤さん:
「週1でやっているので、その分ちょっと豪華な外食に行ったり(妻に)プレゼントを 買ったりとかもあります。そういう意味でも副業としてやれるのはいいことだと思っています」
ちなみにー。
記者:「生徒に五藤さんの印象聞いたら…」
五藤さん:「おお、気になりますね」
記者:「まつげが長いって言ってました」
五藤さん:「言われましたもんマツエク?って。いや、してねーよって。これがアイスブレイクかも一番の」