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登録作品は900冊以上!津高生の『推し本』に県内高校も興味津々、同世代の推しコメントに“いいね!”で共感「どんな本を読んだらいいかわからない、という生徒に活用してもらいたい」 

2024年10月9日 13:02
登録作品は900冊以上!津高生の『推し本』に県内高校も興味津々、同世代の推しコメントに“いいね!”で共感「どんな本を読んだらいいかわからない、という生徒に活用してもらいたい」 

「同年代の本の感想は刺さる確率が高い」

そんな高校生に関する“気付き”から生まれた、三重県立津高等学校発のウェブページ「三重の高校生の推し本」。生徒たちが登録した読んだ本と本の感想をウェブページで公開、生徒たちの感想を閲覧するだけでなく、「いいね!」マークで感想に共感したり、タグ名で本を検索できる機能を兼ね備えたウェブページだ。

「三重の高校生の推し本」は県内外の高校からも注目を集め、9月20日時点で全9校の高校が同ページに参加。各校の生徒たちが登録した本は900冊を超え、“推しコメント”と呼ばれる本の感想は1,000件を突破した。

2024年2月6日にスタートした「三重の高校生の推し本」。誕生のきっかけは、同ページの発案者でもある『三重県立津高等学校(以下:津高校)』学校司書・井戸本吉紀さんが、赴任当初に見た「本の感想欄」にあった。

井戸本さん曰く、「本を借りた生徒が本の感想を書くことができる仕組みができていた」という津高校。借りた本に挟むB6サイズの「本の返却期限を書いた紙」に本の感想欄があり、本の返却時、その感想欄に感想が書かれている割合が多いことに驚いたという。

感想は館内に掲示してきたが、“それだけではもったいない”と感じ、毎月発行する「図書館通信」に掲載。その後、「図書館通信」を読んだ生徒から、「紹介されていた本、どこにありますか?」と聞かれることも増え、「同年代の人の本の感想は刺さる確率が高い」と感じたという。

当時同校では、コロナ禍で登校できない生徒のために、図書館の本をウェブ上で検索・予約できる機能をスタートしたばかり。井戸本さんは、“リスト化した感想もウェブ公開できないだろうか…”と常々考えていた。

そんななか迎えた令和5年の春、三重県教育委員会で「本を読もう!読書活動推進事業」が始動。津高校はその事業のモデル校に手を挙げる際、『本の感想をWebで公開する”津高生の推し本”ページを作る』を一つの柱とし、予算を獲得。ウェブページ「三重の高校生の推し本」の制作へと繋がった。

「津高生の推し本」の中身を検討するなかで、井戸本さんは「他の三重県内の学校図書館からも感想を集めることができたら、より多彩な感想が集まるのではないか」と考え、将来的に他校が参加できることを想定したシステムづくりを提案。

2024年2月に「津高生の推し本」として始まったウェブページは、同年3月に同取り組みに賛同していた『いなべ総合学園高校』が参加し、「津高+いな総 生徒の推し本」としてリニューアル。その後、三重県立川越高等学校や三重県立川越高等学校など7校が加わり、「三重の高校生の推し本」へとなったという。

9月20日時点で登録されている作品は900冊以上、感想は1,000件以上となった「三重の高校生の推し本」。

井戸本さんは同ページについて、「“本を読みたいけど、どんな本を読んだらいいかわからない”という生徒に活用してもらいたいと思っています」と話す。その目的を果たすため、トップページは最新の“推しコメント”がついた本の表紙が並ぶ仕組みを導入。“推しコメント”には、「#泣ける」「#笑える」などハッシュタグを付けることで、タグ名でも本を検索できるシステムへと仕上げた。

また、推しコメントそれぞれに「いいね」ボタンを押せる工夫も。井戸本さんは、「推しコメントを書いた生徒には、自分のコメントに「いいね」がつくことで、“またコメントを書こう”という気になって欲しいと思っています。いずれは、「いいね」が多い推しコメントの紹介などもしてみたいです」と今後の展望を明かした。

学校によって推しコメントがつく本も様々、多彩な本と出会える可能性がある「三重の高校生の推し本」。全9校の生徒たちから寄せられる、多種多様な情報をどのように管理しているのだろうか。

井戸本さんによると、同ページには「学校司書の目を通した後で登録する」というルールが設けられており、生徒たちが登録した情報がそのままウェブに公開されるのではなく、必ず学校司書の確認・登録作業を経て、公開する流れをとっているという。

時には、生徒を通じて本を読んだ保護者から感想が届くこともあり、津高校では保護者の感想も“推しコメント”として掲載しているそうだ。

さまざまな本が登録されている同ページだが、井戸本さんによると登録されている本には、“各校の特色”が反映されているという。

津高校では、夏休みにノンフィクションの作品を読む宿題があることから、ノンフィクション本の登録が多いそうだ。なかでも多くの感想が寄せられている書籍『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著)では、生徒たちから「スマホは人間を依存させるということを改めて感じさせる興味深い事実だった」、「スマートフォンの便利さにおぼれて、脳が確実に蝕まれている」など感想が寄せられていることから、「生徒自身もスマホの使い過ぎへの懸念を持っているのでは」と井戸本さんは感じたという。

また、『いなべ総合学園高校』ではデザイン系の本に関するコメントも。「やってはいけないデザイン」(平本久美子 著)では、「デザインの案がないときに役立つ」と自分がデザインする前提の感想もあり、学校の特色を感じたそう。

9月24日に県内外の高校を対象にオンライン説明が実施されたことから、参加校がさらに増える可能性のある「三重の高校生の推し本」。同ページは、津高図書館のホームページから閲覧することができる。

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