「好きな仕事で生きていくことを諦めたくない」難病と闘う…車いすの折り紙講師に密着 福島県いわき市
「自分の好きな仕事で生きていくことを、諦めたくない」難病と闘いながら、目標に向かって活動する女性に密着しました。
車いすの折り紙講師
いわき市の鈴木 千絵さん(42)。生まれた時から難病と闘い、車いすで生活しています。
■いわき市 鈴木 千絵さん
「車いすは長年乗ってるので大丈夫です。体の一部です」
千絵さんは、月に1度、折り紙教室の講師を務めています。残暑が厳しい、この日のテーマは「風鈴と金魚」。千絵さんは、日本折紙協会認定の講師で、県外でも作品を販売しています。
■受講生は
「1か月に1回しかないから本当に楽しみ。孫らが来た時にばあちゃんが作ったやつだって見せるの」
難病と闘いながらも、千絵さんが折り紙講師として活躍するのには、ワケがありました。
■いわき市 鈴木 千絵さん
「折り紙を一番は多くの人に楽しんでもらいたい…」
2万人に1人ともいわれる難病「骨形成不全症」
千絵さんが闘う難病は「骨形成不全症」です。2万人に1人とも言われ、骨が弱く、骨折が起こりやすくなる病気です。歩く練習をするだけで、すぐに疲労骨折してしまうため、生活には車いすが欠かせません。学生時代、病気が原因で孤立することもあったそうですが、そんな千絵さんの人生を変えたのが「折り紙」との出会いでした。
■いわき市 鈴木 千絵さん
「担任の先生が折り紙教室に通ってみない?と進めてくださって、折り紙の魅力にそこで取りつかれてしまって」
折り紙教室に通い、高校を卒業後に講師となった千絵さん。大好きな折り紙で仕事の道を切り開いてきました。そんな千絵さんを支えるのが、母、珠實さんです。
■母・珠實さん
「朝起きて、顔洗って歯磨いて、ご飯食べて、もうすぐ、折り紙。やめなさいと言うまでやっています」
千絵さんは、家族の存在について、こう話します。
■いわき市 鈴木 千絵さん
「一番家族が思いやりを持って愛をもって私にかけてくれる言葉だったり、示してくれる態度だったりを一番感じている」
ただ、病気は今も進行していて、3年前には背骨が肺を圧迫し、一時、生死の境をさまよいました。手術をして、人工呼吸器をつけて声と体のリハビリを続けています。
大好きな祖父の死…決意
■いわき市 鈴木 千絵さん
「常に二人三脚じゃないですけど、見守ってくれて協力してくれた。大好きなおじいちゃんだった」
千絵さんを、予期せぬ悲しみが襲います。千絵さんを心配し、折り紙講師としての活動を応援してくれていた祖父の正さんが、去年、この世を去りました。この時、千絵さんはあることを決意します。
■いわき市 鈴木 千絵さん
「おじいちゃんが亡くなったり、妹が結婚したり、あと両親もだんだん老いていくので…1人で“自立”して生きていくにはちゃんと安定した収入を得たい」
千絵さんは、オンラインでビジネス講座を受講するなど「折り紙で生きる道」を模索しています。
■母・珠實さん
「こういう障がい者の子を持つと置いては逝けないという…この子を遺しては逝けないというのがあって一緒に逝こうって、逝くときは一緒に逝こうって…『嫌だ』と拒絶されました。『私の人生決めないで』と言われました。ああ、私の勝手なエゴだなと思って…自立してみようかなというので、どうぞやってみてくださいという感じで、協力してあげるから、やりたいことをやってみなさいという感じですね」
大好きな折り紙と共に“自立”へ
「自立」への道を一歩ずつ歩み始めた千絵さん。
■いわき市 鈴木 千絵さん
「これは自分の天職だなと思って。私みたいな病気の人は、就職とかも難しい人もいると思うんですけど、その中でも自分の好きなことを職業にして生きていけるというのも、見せられるじゃないですけど見ていただけたら皆さんに少しでも勇気とか力を与えられる人になれたらなと思ってます」
大好きな折り紙とともに、自立へと羽ばたこうとする千絵さんの挑戦は続きます。