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【避妊】男性任せでいいの?コンドーム以外の方法は?男女ともに考える「避妊」のあり方

2022年3月28日 14:42
【避妊】男性任せでいいの?コンドーム以外の方法は?男女ともに考える「避妊」のあり方
世界の様々な避妊方法

避妊方法として、日本で多くの人がイメージするのは男性用コンドームだろう。しかし欧米でメジャーな避妊方法が異なるのをご存じだろうか。妊娠するのは女性なのに、「避妊は男性の役割」という価値観のままでいいのだろうか。専門家とともに考える。

(2022年3月8日配信『Update the world #15』より)

■女性がコンドームを持っていると、「遊んでいる」?

「サイフにコンドームは男のたしなみ」。番組ゲストのチュートリアル福田充徳さんも、自分たちの世代では常識だったと語る。しかしこの価値観は、いまやアウトオブデートといえる。

まずは「サイフ」。入れ物自体の問題があると、産婦人科医の高橋幸子さんは語る。

「サイフに入れていると、小銭やカードで傷ついて、破れたり切れたりして正しく機能しないことがあります。ハードケースに入れて持ち歩きましょう」

だが本題は、入れ物ではない。ここで注目したいのは、「男のたしなみ」という部分だと続ける。高橋さんは福田さんに「もし女性がコンドームを持っていたら、どう思いますか?」と問いかける。福田さんは、「もしかしたら、遊び慣れている子だと思ってしまうかもしれない」と率直な思いを口にした。

まさにこの考え方自体に問題があると、男性学を専門とする社会学者の田中俊之さんは語る。

「典型的な性のダブルスタンダードの問題です。性について、男性は奔放であってもよいが、女性は貞淑でなければならない。その固定観念が、女性がコンドームを持っていることへの偏見につながっています」

クリエイティブディレクターの辻愛沙子さんは、自身もこの問題意識を持ち、女性が手を取りやすいコンドームの開発を検討しているという。

「ドラッグストアでコンドームなどが売られているエリアは、立ち寄りづらいと感じられる女性も多いと思います。たとえば女性の生理用品の並びに、女性が取りやすいデザインのプロダクトがあれば、この考え方も変わるのではと思い、開発を進めています」

■世界と日本の避妊方法

世界では、さまざまな避妊の方法が用いられているのに対し、日本では極めて選択肢が少ない現状がある。

避妊方法についての調査結果によると、日本では男性用コンドームが75%、ピルが6%に対し、欧米では、男性用コンドーム25%、ピル31%、子宮内避妊器具14%、女性の避妊手術11%となっている。

「子宮内避妊器具」について高橋さんが簡単に説明する。

「子宮の中に親指の先くらいのプラスチックの器具を入れておくことで、受精卵がきたときに子宮に着床させないようにする方法です。それぞれ避妊の仕方が異なり、ミレーナという方法では、ホルモン製剤をつけており、避妊以外に生理痛の治療としても使われています。これまでは出産経験のある女性におすすめされてきましたが、出産経験がなくとも産婦人科の外来ですぐに入れることができます」

辻さんからは、なぜ世界各国と比べてこれほどまでに避妊方法に大きな差があるのか質問が寄せられた。高橋さんは、ピルの処方についての問題があると語る。

「避妊目的のピルは保険適用外で、1ヶ月に3,000円ほどかかります。さらには病院で診察を受けて処方されるので手間がかかります。欧米ではコンビニやドラッグストアで気軽に買えるのが大きな違いです。

ほかにも日本では承認されていない避妊インプラントや避妊注射、避妊パッチなどの方法も、海外で普及しています。日本ではピル自体の普及も進んでいないため、製薬会社も新しい避妊方法を導入できない背景があるのではと考えます」

辻さんも、新たな避妊方法の普及の必要性を強く訴えた。

「避妊注射については、性暴力やDVを受けていて、自分からは避妊を言いづらい女性にも、相手に知られずに避妊できる方法として国連が推奨していると聞きました。そういった事情もあるのだと驚きました」

避妊にも、さまざまな事情が存在する。一人ひとりが避妊方法を選べるようになることが求められる。

■悲しい事件を防ぐために

しばしば目にする、女性が誰にも相談できずに出産し、子供を遺棄死させてしまうニュース。母親は罪に問われるものの、父親に当たる男性の責任は問われない。モヤモヤを感じている人も多いのではないか。このことについて、法律の観点から弁護士の上谷さくらさんが解説する。


「法律の観点からいえば、避妊の主導権が誰にあるかは決まっていません。しかし死体遺棄事件では、共犯関係がない限り、男性の法的責任を問うのは難しいのが現状です」

番組出演者からも、やるせなさを訴える声が上がった。社会学者の田中さんは、価値観のアップデートが必要だと語る。

「逆にコンドームを持っている女性を引いてしまうような男性とは、別れるべきだと思います。そういった価値観が女性に受け入れられないと分かったら、その価値観自体が恋愛市場から淘汰されるはずです」

産婦人科の高橋さんは、「そもそもコンドームは避妊目的ではなく、性感染症の予防のために使うもの。女性はピル服用で、コンドームとのダブルプロテクトで自分の身体を守ってもらいたいですね」と付け加えた。

コンドームにおいても、女性には性交痛があったり、かぶれたりするなどの問題を感じている人もいる。それぞれに身体の特性があるのだから、お互いが恥ずかしがる必要はない。どういった方法を選択すべきか話し合ってみるといいかもしれない。


この記事は、2022年3月8日に配信された「Update the world #15 “性の話はタブー?”をアップデート」 をもとに制作しました。

 

■「Update the world」とは日本テレビ「news zero」が取り組むオンライン配信番組。SDGsを羅針盤に、社会の価値観をアップデートするキッカケを、みなさんとともに考えていきます。

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