【なぜ】線状降水帯 九州北部で予測が出たのに発生せず 出ていなかった静岡では発生 気象台に聞く 福岡
九州北部では28日午前中にかけて線状降水帯の予測情報が出されていましたが、発生しませんでした。なぜ予測は外れたのか。気象台に話を聞くと、線状降水帯を予測することの難しさが分かってきました。
■山本竜誠記者
「こちらの店舗の入り口には土のうが積まれ、浸水対策が行われています。」
福岡県大牟田市では27日、大雨に備え高齢者等避難を出し、市内28か所に避難所を開設しました。その理由は、28日午前中にかけて九州北部に線状降水帯が発生する恐れがあったからです。
こちらの店では4年前に大雨に見舞われ、店の中に水が入り込んできたため、対策していました。
■黒田家・黒田崇さん
「(4年前は)この青くなっているところまで水が入り込んできていて、さらにここから浸水して、店の中まで2センチぐらい。」
結果的に線状降水帯は発生しませんでしたが、今後も対策は怠らないといいます。
■黒田さん
「線状降水帯は発生しなかったが、予報が出ると『あっ』という感じで、いろんな事が頭をよぎる。お客さんに食べ物を提供するお店で衛生管理にもつながる。常日ごろ考えないといけない課題。」
気象台は、佐賀県については28日午前4時前に、また、福岡県については午前11時前に、それぞれ線状降水帯の発生の恐れはなくなったと発表しました。
今回、なぜ線状降水帯が発生しなかったのか、福岡管区気象台に話を聞きました。
■福岡管区気象台 予報課・小川浩司 調査官
(Q.なぜ線状降水帯が発生しなかった?)
「九州北部地方にもそれなりに降水はあったが、大雨にはなっていない。九州南部付近に強い降水域が出て、この辺りで水蒸気がたくさん使われ、九州北部地方への水蒸気の流入が抑えられたことが要因と考えている。」
気象台は当初、九州北部に大雨を降らせる雲が発生すると予測していましたが、実際は九州南部に発生し、北部で雲が発達せず線状降水帯は発生しなかったということです。
一方で、28日午前11時前、予測情報が出ていなかった静岡県に線状降水帯が発生しました。
■小川 調査官
「線状降水帯の予測は、『空振り』が想定されるだけでなく『見逃し』も起こりうる。最新の気象庁の技術でも予測は難しく、4回に1回しか当たらないような状況。」
気象庁は昨年度、線状降水帯の発生予測を22回出しましたが、実際に発生したのは9回でした。それでも、身を守るための情報として有効だといいます。
■小川 調査官
「今回外れたが、(線状降水帯が発生した場合)土砂災害や洪水の危険度が急激に高まることになるので、すぐ避難できるように備えておくことが重要。」
一方、今回の予測情報を受けて避難情報を出した自治体は、気象台がより精度の高い情報を出すことを期待しています。
■大牟田市 防災危機管理室・栗原敬幸 室長
「気象庁は最終的には市町村単位で発表することを目指しているので、少しでも早く実現すると助かる。精度が上がるほど住民の情報の受け取り方も変わってくるので、より的確な避難行動につながるのでは。」
福岡管区気象台によりますと、梅雨はまだ始まったばかりで、今後も線状降水帯が発生する可能性はあるとして、引き続き大雨への警戒を呼びかけています。