シリーズ「こどものミライ」イクラに大トロ! 子ども食堂で「1日限り」すし店 職人が込めた思い 福岡
脂がのった大トロ。この日とれたばかりの新鮮なヒラメ。色とりどりの握りずしが、大きな器いっぱいに並びました。
26日、1日限りの本格すし店がオープンしたのは、久留米市にある子ども食堂です。
普段は小学生から高校生の「居場所」として、認定NPO法人が食事や学習の支援をしていて、運営費は企業からの寄付金などでまかなわれています。
その子ども食堂で、すしを握りたいと申し出たのは久留米市出身のすし職人、小川聡さん(33)です。
■小川聡さん(33)
「もっと身近に感じてほしいというのもあるし、子どもたちが素直に喜んでほしい。おいしいとか、そういうので十分うれしいんです。きょうはお店休んで、ここに全力をささげます。」
材料費も出張費も、すべて自腹で取り組みます。子ども相手とはいえ、手を抜くことはありません。小川さんは当日の朝も普段通り、自ら鮮魚店に足を運んで魚を選びました。
■小川さん
「毎日絶対、魚屋には顔を出すようにしています。自分のベストを毎日尽くすようにしていて仕入れはしています。一貫一貫、本気で握るので。一生懸命やれば伝わるものがあるんじゃないかなと。」
この日は、久留米市内の小学生から高校生およそ30人が集まりました。
■子どもたち
「手を合わせてください。いただきます!」
振る舞われた握りはあわせて800貫です。店で提供すれば、およそ50万円分にあたります。
■子ども
「イクラが一番好き。」
「めっちゃおいしかったです!」
「一人で食べるよりも、みんなで食べたりするのが一番おいしかったです。」
小川さんがマグロをさばき始めると、子どもたちは身を乗り出して包丁の動きを見つめます。
■子ども
「すごいっす!」
「イクラと大トロください!」
■小川さん
「いきいきしていてうれしいですね。」
職人の技と味に目を輝かせる子どもたちに、小川さんはある希望を抱いていました。
■小川さん
「僕ら若手の職人が子どもたちにこういう姿を見せて興味持ってもらえたり、いつかこの中から1人でもすし職人が出てきたりしてくれれば、最高にうれしい。何か一つ、本気で頑張ったり。10年くらい経てば何かしら形にはなるので、明るい未来は絶対あるんじゃないかと思います。」
子どもたちのために開かれた「1日かぎり」のすし店。小川さんは今後も年に1度のペースで続けていきたいと話していました。