標本木には“影武者”が! 開花の時期に変化? まもなく花見の季節 公園では「ブルーじゃないシート」の貸し出しも 福岡
今か今かと待ちわびている人も多いと思います。22日は前日から一転し、暖かい一日となりましたが、桜の開花の状況は進んでいるのでしょうか。福岡市内の公園では、お花見シーズンに向けた準備がすでに始まっています。
福岡市では23日に桜の開花が予想されています。その前日の22日午前、福岡市中央区の気象台にあるソメイヨシノの標本木は、22日はまだ1輪も咲いていませんでした。
■吉村史織フィールドキャスター
「きょう(22日)の標本木の様子は、まだつぼみの状態です。ただ、先端に少し花びらが見えていて、きのう(21日)より一歩開花に進んだかなという感じです。」
標本木に5・6輪の花が咲けば、桜の開花となります。
気象台によりますと、21日、福岡市では最高気温が13度前後と“寒の戻り”でしたが、22日は気温が上がり、花芽は順調に育ってきているということです。
この、開花の基準となる標本木は、全国各地の気象台などに植えられていて、福岡の標本木は1982年に観測を始めた“2代目”、樹齢は47年です。
気象庁によりますと、全国の記録が残っている標本木のうち、5番目に長く現役を続けている“古株”だということです。
この2代目の標本木の40年前の姿がFBSの映像に残っていました。
■当時の観測課員
「数輪咲いたところで開花としています。やっと咲いてほっとしました。」
“初代”の標本木はいったいどこに行ったのか。福岡管区気象台に聞いても残念ながら行方を知る人はいませんでした。
標本木は開花発表の指標となることから、できるだけ自然に近い状態が求められ、福岡では水や肥料を与えないほか、木の“せんてい”も最小限に抑えられています。
さらに“影武者”の存在も。
■吉村フィールドキャスター
「この標本木に不測の事態が起こったときのために、標本木から10メートルほど離れたところに植えられているのが『副標本木』です。」
副標本木は、気象庁の観測指針で準備することが決められています。福岡では気象台の敷地内に3本が植えられていて、陰ながら桜の開花発表を支えています。
一方、目前に迫るお花見シーズンに向け、一足先に客を迎える準備が進んでいます。
園内に180本のソメイヨシノが植えられている、福岡市南区の花畑園芸公園を訪ねました。
■吉村フィールドキャスター
「スタッフの方たちがシートを広げています。」
スタッフが拭き掃除をしていたのは、お花見に欠かせないレジャーシートです。8年前から、花見の時期に合わせて無料で貸し出しています。
こだわりはシートの「色」です。
「ブルーじゃないシート」と名づけられたシートは、桜の色に合うように銀色やござタイプのものが用意されています。
■花畑園芸公園・池尻豊樹 所長
「(ブルのーシートと)全然違う。場所によって色(を変えるの)は大事。」
客の反応も上々だということです。
園内のソメイヨシノは、ようやく1・2輪が咲き始め、開花を心待ちにしています。
■池尻 所長
「花をゆっくり見て、リラックスしてもらい、癒やしの空間として花見をしてもらえたら。」
23日以降、天気が崩れる予報の福岡で、桜の開花発表がいつにになるのか、みんなが心待ちにしています。
気象庁のデータをもとに、1953年から2023年までの福岡県の桜の開花日をまとめたグラフです。縦軸は上から3月中旬、3月下旬、4月上旬となっています。
年によってばらつきはありますが、3月中旬から4月上旬に開花しています。
さらに詳しく見てみます。1980年代までは、4月に入ってからの開花が数年に一度はありましたが、1990年代に入ると4月の開花は一度もなく、すべて3月中に開花しています。
グラフは、開花の時期が右肩上がりになっています。上に向かうほど時期が早くなるので、桜の開花が早まっているということになります。
日本樹木医会の小林理事によりますと「桜の開花は実際に早くなっていて、その要因として温暖化があげられる」ということです。
また、桜が咲くためには、暖かくなる前に気温がぐっと下がる時期も重要だということで、その寒くなる時期が「10℃以下にならなくなると、花が咲かない木が出てくるかもしれない」とも話していました。
温暖化によって開花の時期が早くなるだけではなく、桜の咲き具合にも影響が出てくるようです。