「痛くない乳がん検診」県内で2施設が導入 ふるさと納税の返礼品にも 9人に1人が乳がんに 早期発見がカギ 福岡
母の日の12日、乳がん検診の大切さを呼びかける活動が福岡市で行われました。乳がん検診といえば「痛い」というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、いま「痛くない乳がん検診」も登場しています。
■呼びかけ
「乳がん検診受けましょうのキャンペーンやっています。どうぞ。」
12日、福岡市・天神では乳がんを経験した女性でつくる団体「あけぼの福岡」のメンバーが、“お母さん乳がんで死なないで!”をスローガンに、定期的な検診の大切さを呼びかけました。
その中の1人、あけぼの福岡の深野百合子会長は50歳の時に左胸にがんが見つかり、ステージ1の乳がんと宣告されました。
■あけぼの福岡・深野百合子会長(80)
「乳房を意識する生活をしてほしい。異常を見つける前に早期発見すると死亡率が下がるので、早期発見してほしい。」
国立がん研究センターの統計によりますと、日本人の女性が生涯で乳がんにかかる確率は10.6%で、9人に1人です。
2020年の統計では、乳がんが分かった人の数は30代から増え始め、40代後半は1万人を超えています。
ただ、厚生労働省は、乳がんが見つかっても早くに見つけて治療すれば、より高い確率で完全に治すことができると呼びかけています。
実は乳がんは「自分でも見つけられるがん」です。きょうからできるセルフチェックのポイントを聞きました。
■黒木クリニック・黒木祥司院長
「平手で全体を触っていく。上から下まで胸のなさそうな所まで触ります。大事なのは触った時にへこんでいくが、しこりがあるところは止まる。内側から外側に向けて触っていく。そうすると何かあるぞと。左の胸と右の胸と繰り返して、しこりがないことを確認します。」
黒木院長は、月に1回はセルフチェックをすることをすすめています。
もう一つ、早期発見のカギとなるのが定期的な検診です。しかし、福岡県の乳がん検診の受診率は44.7%と全国平均を下回っています。
一般的に行われている乳がん検診は、乳房を挟んでX線撮影する「マンモグラフィ」と呼ばれる方法ですが、痛みや恥ずかしさなどで抵抗を感じる女性もいます。
福岡県春日市の福岡徳洲会病院では「痛くない乳がん検診」として導入されている検査があります。
■鬼丸ゆりか記者
「こちらが無痛MRI撮影室です。」
「ドゥイブス・サーチ」と呼ばれる方法で、磁気を使ってがん細胞を探します。自由診療で、検査料は
1万9800円です。乳がん検診未経験の記者が体験しました。
■鬼丸記者
「検査着を着たまま、検査を受けることができます。」
検査ではベッドの上にうつぶせになり、くりぬかれた2つの穴に乳房を入れて行います。ヘッドホンで音楽を聴きながらおよそ15分で終わります。検査結果は2~3週間後に郵送で届きます。
■鬼丸記者
「検査終わりました。あっという間でした。胸が圧迫されるようなことはなく、全く痛みはなかったです。寝たような体勢で検査を受けられるのは非常にいいです。」
■福岡徳洲会病院・佐無田和美保健師
「うつぶせの状態で脇から撮影していくので、脇にしこりがあったりとか胸全体を見ることができます。」
こちらはドゥイブス・サーチで見つかった乳がんの画像です。がんだけが黒く写るため見つけやすく、また、死角がないのも特徴だということです。
■佐無田保健師
「自分のメンテナンスと思って1回来てもらって、何もなければ、思う存分、私生活を楽しんで、ご自分の時間を大切にしてもらいたいなと思います。」
大切な人にいつまでも元気でいてもらうために。家族で乳がんへの意識を高めることが大事です。
VTRで紹介した無痛MRI乳がん検診は現在、全国70の施設で受けられます。福岡県内では、VTRで紹介した春日市の福岡徳洲会病院と北九州市八幡西区の有吉サテライトクリニックです。
こちらのクリニックでは、ふるさと納税の返礼品としてもこの検診を受けられます。ただ、ドゥイブス・サーチは自治体からは補助は受けられず、2万円前後の費用がかかります。
自治体もマンモグラフィ検査を行っています。福岡市では40代を対象にマンモグラフィを行っていて、検診料は1500円です。50代以上は1200円で受けられます。北九州市では40歳以上の女性を対象に1000円で受けられます。
国は40歳以上の女性は2年に1回、乳がんの検診を受けることをすすめています。