特集「キャッチ」不登校のこと、お話しします つらい経験を初めて講演会で語った男性のその後 福岡
めんたいワイドでは去年、不登校の経験を講演会で語った福岡県宗像市の動画クリエイターの男性を特集しました。この放送の後、男性のもとには不登校の息子を持つ親から相談が寄せられました。その家族に向き合おうと決めた男性の、その後を追いました。
■宗像動画製作所 代表・永島匡人さん(31)
「きょうは、みんなでカメラで撮って編集して、ここの大画面で動画を見せたいと思います。」
去年11月、地元の小学校を訪れていたのは、宗像動画製作所の代表・永島匡人さん(31)です。ユーチューブでグルメや観光情報を発信していて、この日は、子どもたちに動画の作り方を教えに来ました。
■永島さん
「玄海東小学校のいいところまで3、2、1!」
■児童
「全校生徒の人数が少ないところです。その理由は、ほとんどの人に出番が回ってくるからです。」
■永島さん
「魔法をかけます。」
■児童
「おおー!」
■永島さん
「僕自身が社会に出た時に、人前に立ってしゃべった時に全然しゃべれなくて。正直、きょうの子どもたちのほうがしゃべれてたぐらいですよ、本当に。」
永島さんは小学4年のころから高校を中退するまで、いじめに遭うなどして不登校を繰り返しました。
自宅に閉じこもりがちになった時、学校以外の世界があることを教えてくれたのは、父・浩昭さんでした。
■父・浩昭さん(57)
「サウナ行こうかと言ってサウナに入ると、ほかの大人が平日の昼間に若い子どもがおったんで、どんどん声かけてくれるんですね。」
つらかった経験が誰かの役に立つのなら。そんな思いを胸に去年9月、永島さんは不登校のことを初めて、講演会で語りました。
■永島さん
「僕、この不登校という時代を乗り越えたからこそ今、めちゃくちゃ人生がやりやすいんですよ。」
■めんたいワイド去年10月11日放送
「そんな中、いじめや不登校の経験を生かし、動画クリエイターとして活躍する男性は『不登校でも大丈夫』と訴えます。」
不登校の経験を語る永島さんを、めんたいワイドで特集すると、その後、永島さんのSNSに1通のダイレクトメッセージが届きました。不登校の息子を持つ母親が、放送を見た知人に話を聞き、永島さんに連絡してきたといいます。
■永島さん
「子どもが学校に行けず、どうしてあげたらいいか悩んでいるっていう。講演会を聞きに来たかったそうなんですよね。でも聞きに行けなかったから、どんなことを話されたのか教えてくださいと。」
海辺でのバーベキューを企画
連絡から1か月後、永島さんは、相談があった家族と福岡・宗像市の海辺のキャンプ場を訪れていました。
13歳の拓巳さん(仮名)は、中学2年の2学期から不登校です。勉強が苦手という理由で学校に行かなくなったといいます。
外の空気を楽しんでもらおうと、永島さんが計画したのは家族同士のバーベキューです。
■永島さん
「マシュマロ食べろっか。焼きマシュマロ初めて?」
■拓巳さん
「うん。中身が口の中で溶けよう。」
永島さんが拓巳さんと直接会ったのはこの日が2回目です。拓巳さんの母親は、永島さんとやりとりを重ねる中で気づかされたことがありました。
■拓巳さんの母親
「(不登校の理由が)何かが分からんって思ったら、やはりそういうのは自分の中では多分、分かっているだろうけど、言語化して相手に伝えることが難しいんだと思いますよって。寄り添って待ってあげて、普段の楽しい生活を送らせてあげたらいいのかなって、その時にほっとしました。」
少しずつ変わり始めているのは親だけではありません。
■拓巳さんの母親
「(拓巳さんは)行きたかったんやね、きょうね。相当、素直に起きたもんね。すごい素直やったんですよ。」
■拓巳さんの父親
「学校にはまらないというだけですよ。どうしても学校に足が向かない。」
■永島さん
「学校に行かなくても将来、影響するかっていったら、多分そこが本質じゃない。どちらかというと学校に行かないなら行かないで、何か別のことをすればいいのかなって。」
年が明け、永島さんは拓巳さんと待ち合わせをしていました。次に会うときは「一緒に山に登ろう」と約束していました。
■永島さん
「あ、休憩ポイントがある。ちょっと休憩しよ。ちょっと座っていいですか。ちょっと座ろう。座ったらいいよ、ここ。」
久しぶりの再会で緊張しているのでしょうか。拓巳さんは永島さんの隣に座ろうとしません。
■永島さん
「あ、山頂って書いてある。」
2人で1時間、山を登りました。笑顔でハイタッチしました。
■永島さん
「いぇーい。」
とっておきのものを用意
永島さん、とっておきのものを用意していました。カップラーメンです。
■永島さん
「山の上でラーメン初めてやろ。」
■拓巳さん
「はい」
■永島さん
「子どもの時、こういうのばっかりしよった。」
■拓巳さん
「そうなんですか。」
■永島さん
「いろんな場所でラーメン食いよった。」
■永島さん
「僕のことを信頼してくれたのかはちょっと分からないのですが、楽しむってことをサポートしていきたいな。」
かつて、自分の父親がそうしてくれたように。拓巳さんに寄り添う、永島さんです。
FBSでは、動画クリエイターの永島さんが、つらかった自分の経験を語り、不登校の子どもやその家族と向き合う姿を追ったドキュメンタリー番組を制作しました。
目撃者f「不登校のこと、お話しします」は日曜深夜、29日(月)午前1時25分から放送です。