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徳大付属図書館所蔵の伊能忠敬制作の日本地図を国の重要文化財に指定し「貞光劇場」を国の有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申【徳島】

2025年3月21日 19:26
徳大付属図書館所蔵の伊能忠敬制作の日本地図を国の重要文化財に指定し「貞光劇場」を国の有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申【徳島】
3月21日、国の文化審議会は、徳島大学付属図書館が所蔵する伊能忠敬制作の日本地図を国の重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申しました。

指定されれば、美術工芸品の歴史資料としては徳島県内で2件目となります。

(徳島大学 河村保彦学長)
「徳島大学としては、初めての重要文化財指定ということになります」

この日、国の文化審議会から重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申されたのは、1811年ごろに伊能忠敬が作成した日本地図です。

東日本を関東・東海・北陸、奥州、蝦夷を3枚に分けて描いた「沿海地図」と、西日本を五畿東海、山陰山陽、南海、西海の4枚に分けて描いた「大日本沿海図稿」、それに「豊前国沿海地図」3枚の合わせて10点と地図箱2点です。

戦後、蜂須賀家から譲り受けた徳島大学の付属図書館で所蔵されていました。

「南海」四国の地図の大きさは、縦114cm、横151.5cmの大きさで、「阿波の国」の部分には、「板野」や「名東」といった、今も残る地名が細かく記されています。

伊能忠敬の10回の測量のうち、7回目までの成果が記された今回の地図、幕府に献上された完成本ではなく、編纂途中の未完成本だからこそ、価値があると言います。

(徳島大学大学院 社会産業理工学研究部地域科学分野 夏目宗幸准教授)
「この段階の沿海地図は、経度・緯度の調整、地図投影に課題をまだ残した状態。『伊能図』ができていく最後の過程を示す地図群として、測量史上、地図史上重要である」

重要文化財に指定されれば、徳島県内の美術工芸品の歴史資料としては徳島城博物館が所蔵する徳島藩御召鯨船「千山丸」に次いで2件目となります。



また国の文化審議会は、徳島県つるぎ町の「貞光劇場」も、国の有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申しました。

つるぎ町にある「貞光劇場」は、町の中心部に位置するかつての芝居小屋で、1932年に建てられました。

屋根は切妻造鋼板葺、外壁を横板張とした洋風の外観で、正面に大きなアーチを開けた玄関を備えています。

劇場内の1階部分には舞台と吹き抜けの客席を設け、天井には昔の広告が。

また廻り舞台や、二階座敷なども残されています。

この劇場は、昭和中期に一階中央の枡席を土間に改修し映画館として営業していましたが、2011年に閉館しています。

国の文化審議会はこの「貞光劇場」が、国土の歴史的景観にあたる建物であるとして、今回、有形文化財に答申しました。

正式に登録されれば、徳島県内の建造物の国登録有形文化財は94か所214件となります。

最終更新日:2025年3月21日 20:43
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