【値上げ】7月は411品目の食品が…「原材料の価格高騰」に苦悩する洋菓子店
私たちの生活に欠かせない食品の値上げが止まりません。民間の信用調査会社帝国データバンクによりますと、7月に値上げを予定している食品は411品目で、今年の累計は3年連続で1万品目を超えました。
最も多いのは「酒類・飲料」で、199品目となっています。例えば、ウイスキーや、コーヒー製品が対象でね。このほか、お菓子(75品目)やパン(37品目)では、輸入レーズンやチョコレートの価格が高騰し、それらを使った食品が値上げの対象です。大きな原因は「原材料の価格高騰」です。
そのあおりを受けている一つが「洋菓子」です。いちごのショートケーキの平均価格を見ると5年前の2019年は400円ですが、原材料の価格高騰により年々、値上がりし、今年は500円近くになっています。厳しい環境に置かれている身近な街の洋菓子店を取材しました。
熊本市中央区水前寺の洋菓子店です。ショーケースには、華やかなケーキが並んでいます。しかし、原材料費の相次ぐ値上げなどで、店にとっては苦境が続いています。
ケーキに欠かせないのが生クリームですが、4月に仕入れ値が8%上がりました。夏場の6~10月に県内で収穫できない間に使うアメリカ産のイチゴは、去年より20%値上がりしました。さらに7月にはチョコレートの価格も上がります。
この店では、去年とおととしの原材料費を比べると、年間200万円以上店の負担が増えました。このため今年4月、ケーキ一つにつき10円から30円の値上げを決断しました。
値上げだけでなく、原価をおさえる工夫にも取り組んでいます。ケーキに使う果物は卸業者を通さず、農家から直接仕入れています。また、値上がりした生クリームなどを使わない焼き菓子に力を入れるため、6月1日には専門店をオープンさせました。
努力の甲斐もあって、客の入りはわずかな減少にとどまりました。ただ、売り上げは値上げ前の状態には戻っておらず、厳しい状況には変わりありません。
■乳菓子屋 佐藤憲史郎代表
「かなり厳しい。比較的価格転嫁しなくてもいいものを開発して、おいしいものを作って販売しています。これ以上値上げとなると、どうしてもお客さんの足が遠のくような気がして、これから先の値上げはちょっと現状難しいのではと思っています」
【スタジオ】
帝国データバンクに今後の見通しを聞いたところ、「輸入チョコレートや果物、小麦粉など、原材料の値上げは落ち着く見込みがない」と話していました。街の洋菓子店は、かつてないほどの逆境に向き合っていますが、帝国データバンクは、秋にかけて大規模な値上げラッシュが発生するとみています。