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あなたの地域にもある?“懐かしのお菓子” 愛媛で半世紀以上愛されるグルメ3選

2025年2月19日 17:00
あなたの地域にもある?“懐かしのお菓子” 愛媛で半世紀以上愛されるグルメ3選

地域で半世紀以上受け継がれるお菓子。“ウケツグルメ”です。今日は子どもの、大人のおやつに欠かせない愛媛の“ウケツグルメ”に注目です。

ラム酒×カステラの今治銘菓「ラムリン」

まず向かったのは今治市。今治のウケツグルメは…こちら!黄色の包装紙に馬車のイラストと大きく“ラムリン”と書かれた洋菓子。今治市内の菓子店が1956年に販売をスタートしたふっくら焼き上げた生地にラム酒をたっぷり浸み込ませたカステラです。

ラム酒が香る、大人のお菓子。60年以上に渡り地元で愛され続けた味ですが…

4年前、ラムリンを作っていたお店は後継者がいないなどの理由で惜しまれながら閉店しました。

アリスタ・木曽 野間照博社長:
「昔からすごい大ファンの方が多いということを知って。歴史とともに歩んできたお菓子を我々が残していきたいと」

その味を受け継いだのは、全国各地のお菓子を扱う今治市内の卸売会社。店主から教わった秘伝のレシピを元に3年前に今治の味を蘇らせたのです。当時と変わらず、全て手作業で作っていきます。

野間照博社長:
「自分の子どものようにすごく思い入れを持って作られていましたので、そちらを我々が大事に引き継がせていただくことに心がけてきました」

愛され続けた味の復活。

三宅記者:
「鼻から抜けるラムリンの香りがいいです。カステラのふわふわの感じが好きです」

野間照博社長:
「昔食べた方には一口食べていただくと、昔の今治を思い出していただけるようなお菓子であってほしいと思います」

佐田岬の風土が育む 懐かしの味は

現在、伊方町の佐田岬半島ミュージアムで開催中の企画展「おかし、なつかし」

佐田岬半島ミュージアム 前田学芸員:
「各世代10代ごとに分かれてアンケートをとりました」

伊方町民などを対象に2006年の行ったアンケートで、「あなたの懐かしのおやつは?」を調べたところ、当時の10代から30代はポテトチップスやクッキーといったお菓子。

一方、50代以上は、ほとんどが“サツマイモのおやつ”と回答していました。

水口アナ:
「イモアメ、よく歯にくっついて歯が抜けるんじゃないかと」
前田さん:
「ほんと食べた人にしかわからない思い出というか。サツマイモと麦をどこの畑でも作っていたという時代がほんの数十年前までありました」

日本一長い半島に位置する伊方町には、低い山々が東西に連なり急傾斜地を利用した段々畑ではサツマイモ栽培が盛んでした。

しかし…

前田さん:
「芋自体作ってる農家さんが柑橘にかわって、芋を作ってる畑がだんだん少なくなってきてる。芋のおかしを作る道具、臼もどんどんなくなっとるので、家で(おやつを)作ってる方はだんだん減ってきてるんやないかなと思います」

2010年におよそ30軒あったサツマイモ農家は、10年で7軒と激減。

水口アナ:
「これイモモチというのは分かるんですけど“カンコロ”って?」
前田さん:
「私、地元が長崎県の五島列島なんですけど、そこでもカンコロを食べてたんです。ただ私がここで見たカンコロは私が知ってるカンコロと全く別物で」

これもウケツグルメか!?

向かったのは県立三崎高校。全校生徒155人のうち、6割が町外から来ている三崎高校。地元の味を知ってもらいたいと三崎高校OBのお母さんたちが定期的に料理教室を開いて、生徒に郷土料理を教えています。

今回作るのは伊方町のおやつ“カンコロ”です。材料は、生のサツマイモを切って干したものと、小豆、塩と砂糖。

三崎高校OB 中村まゆみさん(76):
「昔はこれ(イモと小豆)だけで炊いてたんです。だから味もないし甘くもないし、それでも私達は食べてました」

干した芋に水を加えて火にかけ塩や砂糖を加えておよそ40分。トロっと粘り気が出るまで煮込みます。

高校OBたち:
「子供の時にめちゃくちゃ食べた」
「食べたというか食べさせられた。これしかないって」

水気がなくなり団子状に丸めると…サツマイモの甘みと風味を生かした素朴な味、佐田岬の“カンコロ”完成です。

高校OBたち:
「泳いで帰ってきた時にお腹がすいた時に食べてたね」
「晩御飯でごはんがちょっと少ない時にその足しにするような感じで、作って食べさせてもらったような記憶があります」

カンコロの他にもサツマイモを使ったおやつが。天日干しで乾燥させたサツマイモを石臼で引き、粉にしたものを耳たぶ程の柔らかさになるまで練ったあと、黒糖や生のサツマイモを入れて20分ほど蒸しあげると…いももちが完成しました。

「いただきまーす」

山本秀太さん(3年):
「食べたらすごい芋の香りがして、味は芋と黒砂糖の味だけどすごい香りがよくて美味しいです」

Qこういう手作りのおかしっていうのは?
東京都出身 佐伯結衣さん(1年):
「あんまないですね。買ってきて食べることが多いので。おいしかったです とっても」

三崎高校OB 中村まゆみさん:
「やっぱり思い出もあるし、この地域にしかないものなので、できたら大切に受け継いでもらいたいなと思ってるんですよ」

食べていた頃の情景まで思い出す、なつかしの味。その当時を知らない世代も故郷の歴史を感じられるウケツグルメです。

西条市で製造100年!鬼でも割れない!?「鬼板せんべい」

愛媛のお菓子、ウケツグルメ。最後は…西条市で製造を初めて実に100年。手焼きのせんべい「鬼板」です。この鬼板せんべいは何といっても硬いのが特徴!石鎚に伝わる民話で「鬼でも割れなかった煎餅」と言われたのが名前の起源とされています。

三谷鬼板本舗の4代目三谷光幸さん(55才)。

4代目 三谷光幸さん:
「地元の人は懐かしいねとかやっぱりええね言うて買っていただける人が多いです。小さい頃よく食べたんよと言われたらありがたいですよね」

生地には砂糖やショウガ、小麦粉を使用。一晩寝かせて、生地の状態を確かめながら力強くこねていきます。味付けに黒ゴマや青のりを生地に練りこみ、のし棒を使ってうすく均等に伸ばしたあと型抜き。

三谷さん:
「この2つを合わせたのが鬼板せんべいの1枚の大きさになっていきます、焼いたら」

生地は180℃に熱した機械窯に2枚ずつ並べて焼き上がるまでおよそ8分。湯気が立ちのぼる作業場、夏場には37度近くになるんだそうです。

三谷さん:
「夏はどうしても熱が逃げないのでクーラーかけても効かないし大変でした」

焼きあがった熱々の鬼板せんべいに仕上げの石鎚山の焼き印を押すと、100年愛され続ける味「鬼板せんべい」の完成です。

竹林記者:
「確かに硬いですが、噛めば噛むほどせんべいの甘みが口の中に広がります。どこか懐かしい味ですね、とてもおいしいです」

全て手作業のため、1日に作れる量は8枚入りで100セットほど。

三谷さん:
「今後とも引き続き同じ味、同じ硬さができるように頑張っていきたいなと思っています」

当たり前のようにある懐かしの味。そこには、先代から思いと技を受け継ぎ、守り抜く人たちがいました。

最終更新日:2025年2月19日 18:52
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