「葉っぱが落ちている」季節外れの暖かさ?火山ガスの影響?紅葉の名所に異変
11月半ばですが、15日も宮崎県内は10月上旬並みの気温で蒸し暑く感じた方もいらっしゃると思います。季節外れの気温の高さが続く中、紅葉の名所・えびの高原で起きている異変を見てきました。
標高1200メートルにあるえびの高原です。毎年多くの行楽客が紅葉を見に訪れていますが、今年は…。
(登山客は)
「始まってもないのに葉っぱが落ちている」
「紅葉は遅かったのかな?早かったのかな?と思うほど、ほとんど見られなくて」
「赤くならずに黄色から茶色く枯葉になって落ち始めています」
えびの高原では例年、平地より2週間から3週間早い10月下旬から11月上旬に紅葉シーズンを迎えますが、今年は、高原全体で色づきが十分でないまま散り始めているといいます。
(えびのエコミュージアムセンター 須田淳さん)
「最低気温がなかなか下がらなくて、紅葉のスイッチとなる冷え込みが足りないのは痛い。5年ぐらい前と比べると大きな差がある。この2~3年は、徐々に色づきが足りなくなっていると感じます」
一般的に紅葉は、朝晩が冷え込み、日中との寒暖差が大きくなるほど色づきが良くなると言われています。
こちらは、えびのエコミュージアムセンターが調べたえびの高原の気温。
10月の最低気温の平均は13.2℃と、この5年間で最も高く、2020年と比べると6℃も高くなりました。
そして、夏の猛暑の影響も…。
(えびのエコミュージアムセンター 須田淳さん)
「夏がとても暑かった。葉っぱが焼けてしまって、黒ずんでしまったり、茶色くなってしまったり、緑色の葉っぱのまま散ってしまっているものも見られます」
こちらは、九州大学地震火山研究センターの調査などを受託している古園俊男さんです。古園さんは、気温に加えて、えびの高原ならではの原因も考えられると指摘します。
(霧島ネイチャーガイドクラブ 古園俊男会長)
「今年は異常だよ。去年5月ごろから火山ガスが強くなった。地下の二酸化硫黄や硫化水素が吹きあがって、それが植物に影響している」
えびの高原のすぐ近くで噴気を上げる硫黄山。風によって運ばれてきた火山ガスの影響で、その周辺の植物は根から吸い上げた水分や養分が葉に行き届かなくなっているといいます。
(霧島ネイチャーガイドクラブ 古園俊男会長)
「去年から葉が落ちる現象が起きている。韓国岳の登山道あたりで葉っぱが落ちている。風向きによって紅葉が見られなくなって、アカマツもとうとう枯れてなくなった」
標高1200メートルで起きている異変。来年は、鮮やかな紅葉が見られるのでしょうか。